「押し目買い、戻り売りって、一体どういう手法なんだろう・・・」
「相性のいいインジケータってあるのかな?」
「押し目買い、戻り売りをするときの注意点は?」
押し目買いや戻り売りは、シンプルな手法ながらトレンド相場で大いに役に立つ手法です。
また、チャートにラインを引いたり、インジケーターを組み合わせることで、より確度の高いトレードを行うことができます。
今回は、押し目買いと戻り売りの上手な活用方法や注意点について徹底解説していきます。
押し目買い・戻り売りとは?
押し目買いと戻り売りはトレンド相場での順張り(トレンドフォロー)手法で、いわゆる「調整」と言われる値動きを利用し、トレーダーにとって有利な価格でエントリーする手法です。
押し目買い
押し目買いとはその名の通り、「押し目」で買うことを言います。
つまり、押し目買いは上昇トレンド中に一時的に価格が下がったタイミングを狙って、買いでエントリーをする方法の事を言います。
上昇トレンド中に買いでエントリーをする場合、「高値づかみ(高い価格で買ってしまい、その後、値下がりしている状態)をしてしまうのではないか…」と不安になることがあるかと思います。
しかし、上昇トレンドの中で一時的に価格が下落したタイミングでエントリーをする「押し目買い」をすることにより、トレーダーにとって有利な価格での買いエントリーをすることができるのです。
押し目買いのエントリーポイントを判断する方法
押し目買いのエントリーポイントは、前述した通り上昇トレンドの場合に一時的に価格が下落したタイミングです。
したがって、押し目買いでは一時的に価格が下落するまでエントリーを我慢することが重要になります。
注意点としては、強い上昇トレンドが発生している場合、押し目が形成されずに一方的に価格が上がっていくことがある点です。
つまり、上昇トレンドだからといって、必ず押し目買いができるとは限らないのです。
押し目であると判断できた場合にのみ、押し目買いをするようにしましょう。
戻り売り
戻り売りは、前述した押し目買いの逆パターンと考えると分かりやすいでしょう。
戻り売りとは、下降トレンド中に一時的に価格が上昇する「戻り目」を狙い、売りでエントリーをする方法です。
例えば、下降トレンド中に売りでエントリーをする場合、「底値売り(低い価格で売ってしまい、その後、値上がりしている状態)をしてしまうのではないか…」と不安になることがあるかと思います。
しかし、下降トレンドの中で一時的に価格が上昇したタイミングでエントリーをする「戻り売り」をすることにより、トレーダーにとって有利な価格での売りエントリーをすることができるのです。
戻り売りのエントリーポイントを判断する方法
戻り売りのエントリーポイントに関しても、前述した通り下降トレンドの場合に一時的に価格が上昇したタイミングになります。
したがって、戻り売りでは一時的に価格が上昇するまでエントリーを我慢することが重要になります。
また注意点としても押し目買いと同様に、強い下降トレンドが発生している場合は、戻り目が形成されずに一方的に価格が下がっていくことがある点です。
つまり、下降トレンドだからといって、必ず戻り売りができるとは限らないのです。
そのため、戻り目であると判断できた場合にのみ、戻り売りをするようにしましょう。
押し目買い・戻り売りのタイミングを見極める2つのコツ
押し目買いや戻り売りのタイミングを見極めるためには、まず相場の方向性を見極めることが大切です。
相場の種類には、上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場の3種類があります。
押し目買いなら上昇トレンド、戻り売りなら下降トレンドを見極め、さらにトレンドの強さや継続する可能性を判断できるとベストです。
押し目買いや戻り売りのタイミングを見極めるコツとしては、以下2つの方法を使うと良いでしょう。
タイミングを見極める方法
- トレンドラインを引く
- 大陽線と大陰線に注目する
トレンドラインを引く
トレンドラインとはチャートに引く補助線の一種であり、2点以上の安値を結んだ上昇トレンドラインと2点以上の高値を結んだ下降トレンドラインの2種類があります。
チャート上にトレンドラインを引くことで、現在のトレンドが上昇トレンドなのか下降トレンドであるのか判断をすることができます。
また、引いたトレンドラインの傾きがトレンドの強さを表しており、 より傾いている方が強いトレンドであると判断することができます。
押し目買いをする場合
押し目買いをする場合は、右肩上がりにジグザグのチャートを形成しているローソク足に対し、2点以上の安値を結んで上昇トレンドラインを引きます。
押し目買いでは現在のローソク足がトレンドラインよりも上にあることが前提となり、ラインまでローソク足が落ちてきたら押し目であると判断して買いでエントリーを行います。
なお、トレンドラインをローソク足が明確に下抜けた場合には、上昇トレンドが終了したと判断し、速やかに利益確定または損切りをしてください。
戻り売りをする場合
戻り売りをする場合は、右肩下がりにジグザグのチャートを形成しているローソク足に対し、2点以上の高値を結んで下降トレンドラインを引きます。
戻り売りでは現在のローソク足がトレンドラインよりも下にあることが前提となり、ラインまでローソク足が上がってきたら戻り目であると判断して売りでエントリーを行います。
なお、トレンドラインをローソク足が明確に上抜けた場合には、下降トレンドが終了したと判断し、速やかに利益確定または損切りをしてください。
【応用編】サポートラインとレジスタンスラインを引く
トレンドラインを引いた後に、サポートラインとレジスタンスライン(通称レジサポライン)も引くことで、エントリーの根拠をより強いものにすることができます。
というのも、トレンドが発生している際のサポートラインやレジスタンスラインは「レジサポ転換」として、多くのトレーダーが押し目買いや戻り売りのエントリーポイントの目安にしているからです。
レジサポ転換とは
レジスタンスラインをブレイクすると、その後レジスタンスラインはサポートラインとして機能すること
または、サポートラインをブレイクすると、その後サポートラインはレジスタンスラインとして機能すること
例えば、今までレジスタンスラインとして機能していたポイントがブレイクされると、次はサポートラインとして意識されるようになるため、押し目買いでのエントリーポイントになるのです。
また、サポートラインの場合はその逆になります。
そのため、トレンドラインに加え、サポートラインとレジスタンスラインを使うことにより、押し目買いや戻り売りのエントリーポイントをより明確に見極めることができます。
大陽線と大陰線に注目する
ローソク足の大陽線と大陰線に注目することでも、押し目買いや戻り売りのタイミングを見極めることができます。
大陽線:実体部分が大きい陽線
大陰線:実体部分が大きい陰線
大陽線は強い上昇の力を、大陰線は強い下落の力を表しています。
そのため、チャートが右肩上がり(上昇トレンド)の時に大陽線が連続して出現すると、上昇トレンドが続く可能性が高いと判断できます。
逆に、チャートが右肩下がり(下降トレンド)の時に大陰線が連続して出現すると、下降トレンドが続く可能性が高いと判断できるのです。
押し目買いや戻り売りはトレンドに乗ることを前提とした手法になります。
そのため、ローソク足の大陽線と大陰線に注目することで、トレンドが継続する可能性を判断できれば勝率アップにつながります。
さらに、前述したトレンドラインに大陽線や大陰線を組み合わせて使うのも効果的なので、ぜひ試してみてください。
ローソクの見方やローソクをつかったチャート分析についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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押し目買い・戻り売り手法におすすめのインジケーター3選
押し目買い・戻り売り手法は、インジケーターを組み合わせることにより明確にエントリーポイントを見つけることができます。
押し目買い・戻り売り手法と相性のいいインジケーターとしては、以下の3つがあげられます。
- 移動平均線
- フィボナッチ・リトレースメント
- ボリンジャーバンド
移動平均線
移動平均線は、シンプルながら相場の方向性を明確に示すインジケーターであるためおすすめです。
移動平均線の設定期間は利用するトレーダーによって異なりますが、まずは一般的な20期間または25期間移動平均線を使ってみるとよいでしょう。
押し目買いの場合、まずは移動平均線よりもローソク足が上にあることを確認し、移動平均線にローソク足がタッチしたタイミングで買いでエントリーを行います。
逆に戻り売りでは移動平均線よりもローソク足が下にあることを確認し、ローソク足が移動平均線にタッチしたタイミングで売りでエントリーを行います。
ただし、移動平均線にタッチすれば必ずローソク足が反転するというわけではありません。
そのため、エントリーする前にまずは直近で、移動平均線にタッチした後にローソク足が反転するという形が起こっていることを確認しておくとよいでしょう。
【応用編】パーフェクトオーダーでさらに勝率アップ
押し目買い・戻り売りを行う時に、移動平均線の「パーフェクトオーダー」にも注目すると、トレード判断の確度はより高いものとなります。
パーフェクトオーダーとは
上昇トレンド:上から順に短期移動平均線(20または25期間)、中期移動平均線(75期間)、長期移動平均線(200期間)」の順番に移動平均線が並んだ状態
下降トレンド:上から順に長期移動平均線(200期間)、中期移動平均線(75期間)、短期移動平均線(20または25期間)の順番に移動平均線が並んだ状態
パーフェクトオーダーは、多くのトレーダーが使用する世界的にも有名な手法で、並び順を覚えるだけで簡単にマスターすることができます。
3本の移動平均線の期間はそれぞれ、一般的に使われることの多い「20または25・75・200期間」がよいでしょう。
具体的には、上昇トレンドのパーフェクトオーダーが発生し、ローソク足が短期移動平均線にタッチしたら押し目買い、下降トレンドのパーフェクトオーダーが発生し、ローソク足が短期移動平均線にタッチしたら戻り売りを行います。
また、決済はパーフェクトオーダーの形が崩れた時に行います。
例えば、上昇トレンド時に短期移動平均線が中期移動平均線を下抜けたら、上昇トレンドが終了したと判断して決済をします。
逆に、下降トレンドであれば短期移動平均線が中期移動平均線を上抜けたら、下降トレンドが終了したと判断して決済をします。
パーフェクトオーダーはきれいなトレンドが発生しているときに発生するため、押し目買いや戻り売りをする際の判断基準として大いに役に立ちます。
慣れてきたら、自分なりに期間設定などのアレンジを加えて改良してみるのもよさそうです。
移動平均線の見方や活用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
移動平均線(Moving Average)は初心者から上級者まで、多くの方が利用する人気のインジケーターです。 他のテクニカル分析と比べると簡単なので、初心者の方が初めに覚えるテクニカル分析としておすすめです。 &nbs …
フィボナッチ・リトレースメント
押し目買いや戻り売りに組み合わせるインジケーターとして、フィボナッチ・リトレースメントもトレーダーに非常に人気があります。
フィボナッチ・リトレースメントとは
「1:1.618」という黄金比率をチャート上に表示し、主にトレンドの押し目や戻り目を予想するインジケーター
フィボナッチ・リトレースメントを活用することで、ローソク足が反転するポイントを予想することができるのです。
押し目買いではチャートが右肩上がりになっていることを確認し、高値と安値をもとにフィボナッチ・リトレースメントを表示させます。
その後、フィボナッチ・リトレースメントの61.8%ラインまで価格が下落してきたら、買いでエントリーを行います。
逆に、戻り売りではチャートが右肩下がりになっていることを確認し、高値と安値をもとにフィボナッチ・リトレースメントを表示させます。
その後、フィボナッチ・リトレースメントの61.8%ラインまで価格が上昇してきたら、売りでエントリーを行います。
フィボナッチ・リトレースメントを使うことにより、押し目や戻り目の目安が一目で分かります。
フィボナッチの基礎知識や活用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドも、前述した移動平均線と類似する、シンプルで分かりやすいインジケーターです。
ボリンジャーバンドを使った押し目買いや戻り売りは、バンドウォーク中に行うとよいでしょう。
バンドウォークとは
ボリンジャーバンドのバンドに沿ってローソク足が並ぶこと
強いトレンドを表している
バンドウォークでは、2σラインがセンターライン(移動平均線)から拡大しながら、同時にローソク足が2σラインに沿って上昇または下降している状態です。
さらに、バンドウォーク中には上昇トレンドの場合+1σライン、またはセンターライン(移動平均線)で押し目を付けるという特徴があります。
押し目買いの場合は、+1σラインやセンターライン(移動平均線)での押し目(赤丸部分)が押し目買いのチャンスです。
逆に、下降トレンドの場合は-1σラインやセンターライン(移動平均線)で戻り目を付けた時が戻り売りのチャンスになります。
トレンドの発生のサインとなるバンドウォークを確認したら、慎重にエントリーチャンスを探してみるといいでしょう。
ボリンジャーバンドの見方や活用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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押し目買い・戻り売りの注意点
押し目買いと戻り売りは優位性のある手法ですが注意点もあります。
以下5つの点に注意しエントリーを行うようにしましょう。
- 根拠がある場合にのみエントリーを行う
- 長期のトレンドには逆らわないようにする
- 負けが続く場合はトレードをストップする
- 短い時間足はダマシが多い傾向がある
- ダイバージェンスはトレンド転換の可能性がある
根拠がある場合にのみエントリーを行う
全ての手法において言えることですが、根拠のないトレードを行うと、高値づかみや底値売りをしてしまうリスクが高くなります。
高値づかみや底値売りのリスクを抑えるためには、前述したトレンドラインや移動平均線などを用いて、上昇トレンドや下降トレンドの押し目や戻り目を把握することが大切です。
押し目や戻り目でのエントリーは、明確な根拠がある時のみ行うことにより、無駄な損失を防ぐことにつながります。
長期のトレンドには逆らわないようにする
押し目買いや戻り売りをする際は、必ず長期のトレンドを確認するようにしましょう。
短期のトレンドと長期のトレンドが逆方向である場合は、長期のトレンドが短期のトレンドを飲み込んでしまうことが多くなります。
つまり、短期のトレンドのみにしたがってトレードをした場合は、損をする確率が高くなります。
長期トレンドの定義
トレードをする時間足の5〜6倍以上がおすすめ
例えば5分足でトレードするなら30分足以上を長期のトレンドとする
長期トレンドの定義はトレーダーにより異なりますが、長期が上昇トレンドであれば押し目買い、下降トレンドであれば戻り売りを行うとよいでしょう。
負けが続く場合はトレードをストップする
押し目買いと戻り売りは優位性のある手法ですが、当然ながら絶対に勝てるというわけではないため、もし負けが続く場合は一旦トレードをストップすることをおすすめします。
トレンドを見極めることができなかったり、トレンドラインや移動平均線が上手く機能しなかったりすると負けが続くことになります。
そもそも、押し目買いや戻り売りという手法自体があなたに合っていないということも考えられます。
押し目買いや戻り売りで負けが続く場合は、一旦トレードをストップして負けた理由を検証してみましょう。
短い時間足はダマシが多い傾向がある
押し目買いや戻り売りにも、ダマシが発生することがあります。
ダマシとは、ローソク足やインジケーターなどを使ったチャート分析で得られた結論とは逆方向に価格が動いてしまうことです。
特に、ダマシは1分足や5分足などの短い時間足で多く発生する傾向があるため注意してください。
ダマシは常に発生する可能性があるため、大損を防ぐためにも事前に損切りポイントを決めておきましょう。
ダイバージェンスはトレンド転換の可能性がある
ダイバージェンスが発生している時はトレンド転換の可能性があるため、押し目買いや戻り売りをするには注意が必要です。
ダイバージェンスとは
インジケーターの逆行現象のこと
ローソク足は高値を更新しているにも関わらず、インジケーターは切り下がっている状態は、上昇トレンドから下降トレンドへの転換サイン
逆に、ローソク足は安値を更新しているのにも関わらず、インジケーターが切り上がっている状態は下降トレンドから上昇トレンドへの転換サイン
例えば、RSIやMACDなどのインジケーターでダイバージェンスを確認することができます。
中でもRSIは、基本的に線が一本とシンプルであり、一目でダイバージェンスが分かるため、FX初心者の方におすすめです。
ダイバージェンスは、トレンド転換をいち早く知るのに役立ちます。
ダイバージェンスが発生してもトレンドが転換が起こらない場合もありますが、よほど強い根拠がある場合を除いて、ダイバージェンスが発生した際は押し目買いや戻り売りでのトレードを見送るとよいでしょう。
RSIとMACDの見方や活用方法については、こちらで詳しく解説しています。
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まとめ
今回は、押し目買いと戻り売りの基礎知識や注意点、相性のいいインンジケーターについて解説してきました。
押し目買い・戻り売りは、トレンド相場の中でみられる「調整」のポイントを上手く狙ってエントリーする手法です。
この手法で大切なのは、相場の方向性と強さをしっかり見極め、根拠があるときのみエントリーを行うことです。
また、相性のいいインジケーターを組み合わせることで、さらに確度の高いトレードを行うことができます。
エントリーポイントの見極めがしっかりできれば勝率アップにつながりますね。