相対取引(あいたいとりひき)
相対取引とは、金融市場に存在している取引形態の一つで、取引所を通さず、売り手と買い手が一対一で当事者同士で取引を行うことをいいます。
価格、数量、決済方法をあらかじめ決めて行う取引で、FXでは、FX業者対トレーダーの取引間の取引となります。
例えば大口取引の場合、市場を介して取引を行うと価格が大きく変動する可能性がありますが、相対取引であれば価格変動リスクを排除した上で、当事者同士であらかじめ決めた価格で取引できます。
相対取引の問題点としては、トレーダーが損をすることによってFX業者が得する利益相反があります。
レートをFX業者が自由に設定できるので、FX業者に有利な相場でレートを操作されると、トレーダーに損失が生まれてしまうのです。
このような理由から、相対取引は不透明な取引形式と言われています。
店頭取引/相対売買(あいたいばいばい)/OTC(Over The Counter)
アスク(Ask)
アスクとは、FX取引において、トレーダーに対して提示される売値のことです。
FX業者が提示している売値、つまり顧客(トレーダー)側から見ると買う場合の値段のことです。
ASKとは「尋ねる」という意味ですが、FX業者側から見れば「この価格だったら売りますよ」という意思表示ということになります。
ビット(BID)はアスクの逆で「この値段だったら買えますよ」というトレーダーが売る場合の値段のことです。
通常、アスク(売値)はビッド(買値)より高い価格になります。
アスクとビッドの差はスプレッドと呼ばれ、取引業者によってスプレッドの幅が違います。
スプレッドはFX取引を行う時に発生する投資家への取引コストとなり、FX会社にとっては収益となります。
アスク値/オファー(Offer)/売り気配/売り気配値
ビッド(Bid)
アナリスト(Analyst)
アナリストとは、政治・経済の分野における問題について、その要因・動向などについて分析し提言を行う専門家です。
FX取引においてのアナリストは、チャートの動きを調べるテクニカル分析や、国の経済指標、政府要人発言、企業成績などの見通しを調べるファンダメンタル分析を駆使し、FX取引について見通しを提供しています。
チャート分析等を行いテクニカル分析を専門にするテクニカル・アナリストと、経済統計等などからファンダメンタルズを分析するファンダメンタルズ・アナリストがいます。
アナリストが行った企業分析及び評価は、アナリスト・レポートという報告書にまとめられます。
アノマリー(Anomaly)
アノマリーとは、はっきりとした理論的な根拠があるわけではないけれど、よく当たると言われる経験則のことをいいます。
一般にマーケットには経済合理性や投資理論だけでは説明のつかない動きが多々あります。
マーケットがアノマリー通りに動くことも多くあり、アノマリーを知ることで投資に役立つこともあることから、積極的に利用しているトレーダーもいます。
代表的なアノマリー
「SELL IN MAY, and go away; Don’t come back until St. Leger Day」:「5月に売り、市場から立ち去れ、セント・レジャー・ディ(9月の第二土曜日の競馬レースが行われる日)まで相場に戻ってくるな」という意味です。一般に「SELL IN MAY」と呼ばれています。この間は株式市場が動かないため、5月に売ればしばらく休んでいいというアノマリーです。
「ゴトー日(5日・10日)」:5と10がつく日には、日本の輸入企業などのドル決済が必要な企業は、円を売ってドルを購入します。金融機関はドル不足になるため外国為替市場からドルを購入するので、ドル円は上昇する傾向があります。
アメリカ雇用統計(CES)
アメリカ雇用統計とは、FX市場で最も影響力のある経済指標の一つで、アメリカ合衆国厚生労働省が毎月第一金曜日に発表される、一連の統計レポートのことです。
アメリカの雇用情勢を表している指標で、失業率・非農業部門雇用者数変化・平均時給など10項目から構成され、調査対象者が多くデータが膨大なので、労働市場の状況を把握できます。
これらのデータは連邦準備理事会(FRB)の政策にも反映され、将来の制作への期待感から市場に大きな影響を与えるため、雇用統計発表後にはドル相場が大きく乱高下します。
毎月第一金曜日
夏時間:日本時間午後9時30分/冬時間:日本時間午後10時30分
アメリカ雇用統計/米国雇用統計
アービトラージ(Arbitrage)
アービトラージとは、異なる2つの通貨の価格差を利用して利益を出す方法のことをいいます。
例えば、「現物市場で取引されている為替レート」と「先物取引で取引されている為替レート」の差額を利用して利益を得ようとする方法です。
FXでは、FX会社間の価格差を利用して通貨を売買することでアービトラージが行われます。
アービトラージを使えば、理論上は必ず利益が出る取引が可能と言われています。
しかし、FX取引では取引量や取引参加者が多いため、FX会社間の価格差はあっという間に消えてしまうため、アービトラージを実際に行うのは難しくなっています。
国内FXでは制度の性質上、基本的にアービトラージは行えません。
海外FXでは、アービトラージは行えるますが、禁止にしている業者も多くなっています。
さや取り/裁定取引(さいていとりひき)
委託介入(いたくかいにゅう)
委託介入とは、為替相場の不均衡によって自国経済に悪影響が出ている時に、当該国の中央銀行が、他国の中央銀行に市場介入を代行してもらうことです。
日本銀行が為替介入を委託する先としては、
欧州市場:ECB(European Central Bank、欧州中央銀行)
ロンドン市場:BOE(Bank Of England、英国中央銀行)
ニューヨーク市場:FED(Federal Reserve Bank、米連邦準備銀行)
があります。
外国為替市場は24時間オープンしていますが、海外市場が取引の中心となる時間帯に自国通貨の為替レートに不均衡が生まれた場合に、委託介入する必要が生じることが想定できます。
移動平均線(いどうへいきんせん)
移動平均線とは、過去のある期間の終値を平均して、それらをチャート上でつなげた線のことをいいます。
移動平均線は様々なテクニカル分析に利用され、為替相場のトレンドを見るのに役立ちます。
移動平均線は終値の平均を取る時間を変えることができ、日足では5日、25日、75日、週足13週・26週・52週、月足12月・24月・60月などがよく使われます。
平均値の短い移動平均線と長い移動平均線を同時にチャート上に表示させるのが一般的で、線の動きは相場トレンドの転換点のサインとして参考にすることができます。
ゴールデンクロス:「買いサイン」で、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上へ突き抜ける線。相場が上昇トレンドに切り替わることが期待できる。
デッドクロス:「売りサイン」で、短期移動平行線が長期移動平均線を上から下へ突き抜ける線。下降トレンドに切り替わることが予測できる。
インターバンク市場(いんたーばんくいちば/しじょう)
インターバンク市場とは、国際決済銀行間で行われている外国為替取引の場、銀行間取引市場のことをいいます。
インターバンク市場には物理的な取引所があるわけではなく、金融機関が電話やオンラインで取引を行っています。
外国為替相場の卸売市場に相当し、主に中央銀行、市中銀行、ブローカーなどによって構成されています。
オセアニアから始まり、東京香港シンガポールヨーロッパロンドンニューヨークの順に取引の中心市場が移動し、世界中の銀行が電話やインターネット通信で互いに24時間、取引しています。
中でも東京・ロンドン・ニューヨークは世界3大市場と呼ばれています。
銀行間取引市場
インフレーション(Inflation)
インフレーションとは、通称インフレと呼ばれ、経済学において一定期間に渡って経済の価格水準・物価が全般的に上昇することをいいます。
一般的にインフレーションは、需要が供給を上回るあるいは賃金や原材料費が高騰するなどの原因によって起こるとされています。
緩やかなインフレは経済にとって良いとされていますが、短期間のうちに物価が数倍に高騰す過度なインフレであるハイパーインフレーションは、貨幣価値の低下をもたらし、所得・資産の再分配にも弊害を招きます。
例えば、第二次世界大戦後はハイパーインフレと呼ばれています。
インフレ率を一定に抑制して緩やかに上昇させることは、中央銀行の主な業務です。
インフレ/物価上昇
デフレーション/デフレ
売り持ち(うりもち)
売り持ちとは、外貨を売っている状態で、すぐに買い戻さずに長期間持ったままにしている状態をいいます。
FX取引では空売りができるため、取引対象となる通貨の価値が相対的に下落するのを期待して売り持ちをし、相場下落から利益を求めることが可能です。
売りポジション/ショート/ショートポジション/売り建玉(うりたてぎょく)
買い持ち/買いポジション/ロング/ロングポジション/買い建玉(かいたてぎょく)
円高(えんだか)
円高とは、または日本以外の国の通貨に対して、円の価値が上がることをいいます。
一般に基軸通貨の米ドルに対して日本円の需要が供給より高くなると、円高といいます。
・1ドル100円→1ドル95円にレートが変わると、
・「ドルの価値が下がった」=「円の価値が上がった」ということになる。
・この状態を「5円の円高」「円高ドル安」と呼ぶ。
円高になると、海外製品は安くなり輸入関連産業が恩恵を受けますが、輸出には不利になり輸出関連産業は損出が出ます。
同義語
Strong Yen
円安(えんやす)
円安(えんやす)
円安とは、日本以外の国の通貨に対して、円の価値が下がることをいいます。
一般に基軸通貨の米ドルに対して日本円の供給が需要より高くなると、円安といえます。
・1ドル100円→1ドル105円にレートが変わると、
・「ドルの価値が上がった」=「円の価値が下がった」ということになる。
・この状態を「5円の円安」「円安ドル高」と呼ぶ。
円安になると、輸出企業にとっては売り上げが向上し、輸入企業にとっては仕入れ値が高くなります。
円安が進行すると日本の輸出企業の業績向上が見込まれますが、日本では輸出産業が経済を支えている面が強いため、円安になると好景気に向かう傾向があります。
Weak Yen
円高(えんだか)
エキゾチック通貨
エキゾチック通貨とは、マイナー通貨の中でも、流通量の低い通貨のことを指します。
トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ、香港ドル、シンガポールドル、ノルウェークローネ、ポーランドズロチなどがエキゾチック通貨と呼ばれています。
米ドル、日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフランなどのメジャー通貨と比べて、エキゾチック通貨は流通量・取引量が少なく値動きが激しい傾向があるため、スワップポイントが高く設定されています。
スワップ金利を目的に、エキゾチック通貨の長期保有投資が人気ですが、これらの国々は政情不安など将来の予測が難しいため、リスク管理に気を配る必要があります。
また、エキゾチック通貨は流動性が低く市場での出来事が少なく情報を集めるのが難しいため、テクニカル分析しづらいといった特徴があります。
円キャリートレード(えんきゃりーとれーど)
円キャリートレードとは、取引戦略の一つで、世界的に見て低金利である日本円で資金を借りて、より高金利が期待できる通貨などに投資することで利益を得る取引手法のことをいいます。
例えば、より高金利である豪ドルや南アフリカランドなどに投資することで、為替レートによって利益を得ることができます。
為替相場の変動で為替差益も大きく変化するため、日本だけでなく海外の経済状況にも注目しつつ取引する必要があります。
ドルを借りて投資すれば、「ドルキャリートレード」と呼ばれます。
円キャリー取引/キャリー取引
追証(おいしょう)
追証とは、「追加証拠金」の略語で、保有しているポジションの含み損が、相場の変動などによって一定額を超えてしまった際に、委託保証金を追加入金をしなければはならないことを指します。
とりわけFX取引において追証が懸念されているケースは、ロスカットが発動してマイナス残高が生じたケースです。
マージンコール追加証拠金
欧州委員会
欧州委員会とは、欧州連合(EU)の行政執行機関にあたります。
EUの政府・内閣であり、欧州全体の利益を代表し、追求することが欧州委員会の使命となっています。
具体的には、欧州連合理事会への政策案・法案提出、EU法規適用の監督、理事会決定の執行を行っています。
欧各EU加盟国より1名ずつ選出された合計27名の委員が在籍し、任期は5年で、委員は任務を遂行するに当たって、出身国政府の意向に左右されずEUの利益だけに行動することが義務付けられます。
ブリュッセルにあるベルレモン・ビルを拠点としており、委員会内では英語・フランス語・ドイツ語が作業用語とし、およそ25000人のスタッフが業務を行なっています。
欧州中央銀行(ECB)
欧州中央銀行とは、ECB(European Central Bank)のことで、欧州単一通貨であるユーロの金融政策を実施する中央銀行です。
通常他の国では、自国通貨の金融政策を管理するため、中央銀行は一つの国に一つだけ存在しますが、欧州中央銀行はユーロ圏全体の中央銀行として位置付けられています。
ECBの最優先課題は、ユーロ圏内の物価の安定です。
ユーロ圏内の物価を安定させることで、ユーロの価値も安定し、国際的に信用される強い通貨になると考えているからです。
これ以外の役割として、ユーロの発行・管理、公開市場操作、ユーロ加盟国の公的外貨準備の保管などを行なっています。
押し目買い(おしめがい)
押し目買いとは、為替レートが上昇トレンドを描いていく過程で、一定の間隔で下落するタイミングに買い付ける方法のことです。
相場が上昇基調にあるときでも、一時的に価格が下がる調整局面を「押し目」と呼び、押し目の時に、価格がさらに上昇することを期待して買うことを押し目買いと呼びます。
押し目が発生する一般的な背景には、保有している買いポジションの利益確定のための売り注文や、値下がりを意識した売りポジションのエントリーがあります。
押し目を拾う/Buy On Dip
戻り
オシレーター系
オシレーターとは「振り子」や「振り幅」という意味で、オシレーター系とは「買われすぎ・売られすぎ」を示すテクニカル分析手法です。
オシレーター系は、強弱や勢いなど相場の変化の大きさで判断し、買われすぎ・売られすぎと言った投資家の動きを測定し、やがて訪れる反転を予測し、タイミングを狙ってポジションを立てるサインとして利用します。
オシレーター系は、逆張り投資に有効なテクニカル指標とされています。
・RSI(Relative Strength Index)
・ストキャスティクス
・サイコロジカルライン
踊り場(おどりば)
踊り場とは、上昇または下落を続けていた値動きが一時的にペースを落とし鈍化して、停滞状態になることです。
上昇トレンドまたは下降トレンドが長時間続いた時に、踊り場が発生する確率が高い傾向にあります。
調整局面/調整
オフショア取引(おふしょあとりひき)
オフショア取引とは、非住居者から貸し付けた資金を、別の非住居者に貸し付けるなど、運用・調達とも非住居者で行う取引のことです。
オフショア(Offshore)とは、「岸から離れた」という意味で、「国内市場から離れた」という意味で使います。
国内の金融規制や課税方式が採用されないオフショア取引は比較的自由な取引を認められています。
オフショア取引は大きく分けて、ニューヨーク型、ロンドン型、タックスヘイブン型に分けることができ、日本はニューヨーク型です。
海外FX取引はオフショア取引に当たるため、例えば、国内FXはレバレッジが25倍までなのに対し、海外FXでは数百倍などの高いレバレッジが可能です。
オプション取引
オプション取引とは、「あるもの」を「ある日時」に「ある値段」で「買う/売る」という4つの条件がついている権利を売買する取引をいいます。
コールオプション:買う権利
プットオプション:売る権利
これらの権利を売買することが、オプション取引です。
終値(おわりね)
終値とは、FXや株式などの1日の取引活動を通して、取引終了時に発生した価格のことをいいます。
FXにおいて終値は、為替の移り変わりやその後の為替を予測するなど、動向を見るための重要な要素の一つで、バーチャートやローソク足などで特に重要視されています。
また、終値は週単位や月単位で使われることがあり、例えば、週単位では週の最後についた価格を終値と呼ぶことがあります。
引値(ひけね)/Closing Rate
始値(はじめね)/寄付(よりつき)
オートリベート
オートリベートとは、海外FX取引の際に行われるキャッシュバックシステムの一つで、FX業者からトレーダーへの直接の現金還元制度です。
FX業者は、IBと呼ばれる広告会社と契約していて、その報酬はIB業者経由で口座開設したトレーダーの取引の数によって決まります。
トレーダーに多くの取引をしてもらうため、一部のIB会社はFX業者から受け取った報酬の一部をトレーダーに還元しています。
「オートリペード」や「IBキャッシュバック」は、この還元制度のことを言います。
海外FXに従来からあるIBキャッシュバックでは、報酬はFX業者からIB会社に支払われ、その報酬を下IB会社からトレーダーに還元する、という方法をとっています。
それに対し、オートリベートではIB業者が振込業務を行わず、FX業者から直接トレーダーに報酬が支払われる仕組みになっています。
オートリベートを行う際は、IB業者に申請する必要があります。
オーバーシュート(Over Shoot)
オーバーシュートとは、為替レートが短期的のうちに、売り・買いのどちらか一方向に急激な動きを見せることをいいます。
価格が瞬間的に上昇した場合、下落した場合、どちらもオーバーシュートに当てはまります。
多くの場合、オーバーシュートは一時的なものであり、その後は修正の値動きが起こる傾向があります。
そのため相場の修正を期待した投資家が、買い戻しや払い戻しを狙うことも少なくありません。
オーバーシュートは米国雇用統計のような重要な経済指標の発表時や政府要人発言時などをきっかけに発生する傾向にあります。
オーバーナイト取引
オーバーナイト取引とは、今日立てた注文を当日のうちに決済せず、翌日以降もポジションを持ち越す取引のことをいいます。
FX取引では、ポジションを翌日に持ち越すことで、取引通貨の金利差によるスワップポイントが発生します。
オーバーナイト・ポジション