「FXの逆張りやナンピン、両建てのは悪手だって本当?」
「難しい手法だから、初心者には関係ないかな・・・」
「逆張り、ナンピン、両建てって稼げるのかな?」
FXの逆張り、ナンピン、両建ては、リスクが高いため「ご法度」の取引手法として知られています。
しかし一方で、その性質をうまく利用し大きな利益を獲得しているトレーダーがいることも確かです。
今回は、逆張り、ナンピン、両建てについての仕組みや手法、注意点について解説していきます。
FXでの逆張り・ナンピン・両建てはうまく使えば有効?
結論から言うと、FXにおける逆張りやナンピン、両建ては使い方次第では武器にもなり得ます。
ただし、むやみに使えばもちろんリスクは高くなるため、後述する有効な手法を使いリスクを抑えることが大切です。
特にトレード経験の浅い初心者の方は、それぞれの仕組みをよく理解し、利用する際は損切りを怠らないようにしましょう。
ここからはそれぞれの特徴や手法、注意点について解説していきます。
FXにおける逆張りとは?
トレンドと同一の方向のポジションを保有することを順張り(トレンドフォロー)と言います。
逆張りはその逆で、基本的にトレンドの反転を先読みして行うトレード手法であると言えるでしょう。
逆張りとは
トレンドの転換点を狙い、トレンドの方向とは逆の方向の買いポジションや売りポジションを保有すること
上昇トレンドの時:売りポジションを保有する
下降トレンドの時:買いポジションを保有する
順張りと逆張りの違い
順張りと逆張りは真逆のトレードスタイルであるため、以下のような違いがあります。
順張り | 逆張り | |
---|---|---|
トレードスタイル | トレンドに乗ってトレードする | トレンドに逆らってトレードする |
対応する相場環境 | トレンド相場 | トレンド相場→レンジ相場 |
トレード時間 | 比較的長時間が多い | 比較的短時間が多い |
主なテクニカル指標 | 移動平均線 MACD | RSI ストキャスティクス |
順張りと逆張りのどちらが優れているかという観点ではなく、まずは自分に合ったトレードスタイルを選ぶことが重要です。
さらに相場環境に合わせて順張りと逆張りを使い分けることができれば、トレードチャンスがさらに増えます。
移動平均線とMACD、それぞれの特徴や活用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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FXにおける逆張りの有効な手法3選
逆張りはトレンドフォローに比べるとリスクの高い手法になります。
リスクを最小限に抑えるために、以下のようなエントリーポイントをしっかりと見極める必要があります。
・レンジ相場のサポートラインとレジスタンスラインでの反転を狙う
・買われ過ぎまたは売られ過ぎの相場での反転を狙う
レートの急激な上昇(下降)後の反転を狙う
レートが短期的に急上昇(もしくは急下降)した後は、逆張りの狙い目です。
なぜかと言うと、レートが急激に変化した後は、値動きが反転し移動平均線などに吸い寄せられるようにレートが動く(平均回帰性)ことが多いからです。
さらに、ローソク足が長いヒゲを付けたタイミングを狙うと、トレードの優位性を高めることができます。
エントリーポイントの例
買いポジション:ローソク足が長い下ヒゲを付けたタイミング
売りポジション:ローソク足が長い上ヒゲを付けたタイミング
この手法は、勝率が高くなるという点で人気がある手法です。
ただし、値動きが反転せずにそのまま上昇または下降を続けることもあるため、損切りのポイントはしっかりと決めておくことが大切です。
また、複数の要人発言や経済指標の発表が短時間の間に続くような場合は値動きを読むことが困難なため、無理にトレードをすることは避けた方がよいでしょう。
レンジ相場のサポートラインとレジスタンスラインでの反転を狙う
トレンドの転換点を狙うのではなく、レンジ相場のサポートラインとレジスタンスラインでの反転を狙うのも逆張りの有効な手法になります。
レンジ相場では、チャートの形状から簡単に天井(レジスタンスライン)と底(サポートライン)を判断することができます。
そのため、トレンドの転換点を狙う手法よりもわかりやすいため、FX初心者にもおすすめの手法です。
レンジ相場でトレードができれば、利益を得る機会も増やすことができます。
手法としては、サポートラインの手前で買いポジションを、レジスタンスラインの手前で売りポジションを保有します。
決済は、買いポジションはレジスタンスラインの手前で、売りポジションはサポートラインの手前で行います。
損切りのポイントとして、買いポジションの場合はレートがサポートラインを明確に下抜けた時、売りポジションの場合はレジスタンスラインをレートが明確に上抜けた時が基本になります。
エントリーと損切りのポイントが分かりやすいため、FX初心者の方はこの手法から逆張りを始めてみてもよいでしょう。
買われ過ぎまたは売られ過ぎの相場での反転を狙う
買われ過ぎまたは売られ過ぎの相場は、反転しやすいという特徴があります。
トレンドの転換のタイミングをうまくつかむことができれば、大きな利益を狙うことができます。
買われ過ぎまたは売られ過ぎの判断としては、例えばRSIやストキャスティクス、ボリンジャーバンドなどのテクニカル指標を利用するのがいいでしょう。
ただし、前述したレートが急上昇(急下降)後の反転を狙う手法に比べ、トレード期間は長くなりがちです。
そのため、焦ってポジションを保有するのではなく、トレンドの転換をしっかりと確認した後にポジションを保有するとよいでしょう。
FXにおける逆張りの注意点
逆張りをするうえでは、以下3つの点に注意しましょう。
・根拠に基づいたトレードをする
・損切りポイントを事前に決めておく
・上位足のトレンドを確認する
根拠に基づいたトレードをする
逆張りは、「下落が続いているし、そろそろ上昇するだろう」という値ごろ感でトレードをして失敗するトレーダーが多い手法です。
逆張りをするならば、まず自分なりのトレードルールを作り、それに基づいてトレードを行うようにしましょう。
根拠なしでトレードをするのは、ギャンブルをしているのと同じです。
損切りポイントを事前に決めておく
逆張りはトレンドの転換を狙うパターンが多くなるため、損切りを行わないと、トレンドが転換しなかった場合に、損失がみるみるうちに増えていってしまうことがあります。
しかし、事前に損切りポイントを決めておけば、損失を限定することが可能になります。
予想が外れた時のリスクを最小限に抑えるため、かならず損切りポイントはエントリー前に決めておきましょう。
上位足のトレンドを確認する
逆張りをする際は、上位足のトレンド(大きなトレンド)には逆らわずに逆張りをすることが大切です。
上位足のトレンドを確認することで、勝率を上げることができます。
例えば、逆張りで売りポジションを保有する場合には、上位足で下降トレンドが出ていれば売りポジションを保有します。
逆に、上位足で上昇トレンドまたはトレンドが出ていない場合には、売りポジションの保有は見送ります。
トレンドの確認方法としては、移動平均線やMACDといったテクニカル指標を使うと分かりやすいでしょう。
FX初心者の方には少々難しいかもしれませんが、大きな流れに逆らわずにポジションを保有することで勝率を上げることが可能になります。
逆張りをする際は、上位足のトレンドを確認するクセを付けるようにしましょう。
FXにおけるナンピンとは
ナンピンとは
保有しているポジションに対してレートが逆の方向に進んだ際に、さらにポジションを追加し平均取得単価(平均コスト)を下げる手法。
レンジ相場の場合、ナンピンは、平均取得単価を下げることにより最初にポジションを保有したレートに戻る前に損益がプラスになるためよさそうな手法に思えます。
しかし、相場が一方向に動くような強いトレンド相場の時には、一度に大きな損失を負う危険性のある手法です。
ナンピンの平均取得単価の計算方法と具体例
ナンピンの平均取得単価の計算方法を例を挙げて説明します。
ドル円を100円で買いレートが95円まで下がったとします。
この場合には5円の含み損が発生しますが、95円でポジションを追加することにより平均取得単価は97.5円まで下げることができるのです。
97.5円 = 100円 + 95円 ÷ 2ロット
したがって、ナンピンを行ったことにより、97.5円より上までドル円のレートが上昇すれば利益を得ることができます。
FXにおけるナンピンの有効な手法
ナンピンは、レンジ相場限定で有効です。
なぜなら、レンジ相場はトレンド相場と比較すると相場が反転しやすく、反転することで損益がプラスになるナンピンに向いているからです。
例えば、ローソク足パターンや移動平均線、ボリンジャーバンドなどのテクニカル分析を使って、現在の相場環境が方向性のないレンジ相場であると判断できた場合に限り、ナンピンを行うとよいでしょう。
もちろん、トレンド相場の反転するポイントを見極められる上級者の方であれば、トレンド相場でナンピンをすることもできます。
ただし難易度が高く大きな損失につながりかねないため、初心者の方はまずレンジ相場に限定してナンピンを使ってみるのがいいでしょう。
FXにおけるナンピンの注意点
ナンピンはハイリスクな取引手法であるため、利用する場合は十分な注意が必要です。
特に以下の4点はしっかりと頭に入れておきましょう。
・資金管理をしっかりと行う
・精神的な負荷が大きい
・マイナスのスワップポイントによる損失
・エントリーポイントを明確にする
資金管理をしっかりと行う
ナンピンの注意点は、何と言っても資金管理をしっかりと行うことです。
ナンピンでは、保有しているポジションとは逆のトレンドが発生する可能性が常につきまといます。
例えば、自分に不利な方向へ長期間続く強いトレンドが発生した場合、ナンピンを続けていれば保有ポジションが膨れ上がり、一気に大きな含み損を抱えてしまいます。
ナンピンを行う場合は、回数や損切りポイントを事前に決めておき、資金を守ることが必要なのです。
精神的な負荷が大きい
ナンピンでは、レートが不利な方向に動いた場合「もう一度ナンピンをしたい」という気持に駆られて、ついつい損切りが先延ばしになりがちです。
損切りをせずにナンピンをずっと繰り返せばいつか大損する日がやってきます。
したがって、ナンピンをハイリスクな手法にしないためには、しっかりとしたトレードルールを作り、それを守る精神力が絶対に必要になります。
もしあなたが全くのFX初心者の方であれば、特に気持ちを抑えられずナンピンを無限に繰り返してしまうパターンに陥りやすいため、FXに慣れるまではナンピンを使った手法は避けておいた方がよいかもしれません。
FXにおけるメンタルのコントロール方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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マイナスのスワップポイントによる損失
ナンピンは保有ポジションを増やしていく手法であるため、トレード期間も長くなりがちです。
そのため、スワップポイントがマイナスになる場合には、スワップポイントの支払いも多額になる傾向があります。
スワップポイントとは
2つの通貨の金利調整額のこと
金利の高い通貨を売り金利の低い通貨を買った場合は、スワップポイントの支払いを求められる(マイナスのスワップポイント)
例えば、トルコリラや南アフリカランドといった金利の高い通貨を売り、日本円やユーロなどの金利の低い通貨を買った場合はスワップポイントを支払わなければならない
スワップポイントはFX会社によって大きく異なります。
そのため、ナンピンを使ってトレードをする場合には、自分がトレードをする通貨のスワップポイントをFX会社のサイトでしっかりとチェックしておく必要があります。
海外FX業者「XMTrading(XM)」のスワップポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
XMスワップポイントはには、メリットもあればデメリットも。仕組みや計算方法を正しく理解し、安定した利益が狙いましょう。
エントリーポイントを明確にする
ナンピンは、負けたくないがゆえのその場の勢いで利用してしまえば、ギャンブルと同じです。
上手く利用して利益を出すためには、しっかりとしたルールを設定し利用することが大切です。
ナンピンを利用するルールの例
・最初に保有したポジションから〇〇pipsレートが不利な方向に動いたとき
・移動平均線から〇〇%離れたとき
・ナンピンは最大〇回までにする
自分なりのルールにしたがい少しでも有利なポイントで、ナンピンを利用するよう心がけましょう。
FXにおける両建てとは
同じ通貨ペアの買いポジションと売りポジションを同時に保有すること
例えば、ドル円の買いポジションと売りポジションを同時に持っている状態
同一の通貨ペアで買いと売りで同じ数量のポジションを保有している場合は、理屈として決済しているのと同じ状態になります。
加えて、同一の通貨ペアで買いと売りの数量に差がある場合には、差分の数量のポジションを保有していることと同じになります。
FXにおける両建ての有効な手法2選
両建てにおいては以下の2つの手法が有効です。
・長期トレードの中で短期間に両建てをする
為替リスクを避ける
両建ては、年末など相場が急変動しやすい時に使うのが有効です。
例えば、年末に含み益のあるポジションを保有していたとします。
年末は課税期間の締めの時期でもあるため、保有ポジションを決済し年間の収支がプラスとなれば、その分税金が発生します。
しかし、両建てを使うことで保有ポジションを決済せずに利益を翌年に持ち越し、尚かつ為替リスクも避けるということが可能になります。
両建ては年末の税金対策に対しても非常に効果的な戦略であると言えます。
長期トレードの中で短期間に両建てをする
両建ては長期と短期のトレードを同じ口座で行う時に便利です。
口座内で、買いポジションと売りポジションを一時的に両建てするという方法です。
例えば、長期的にはドル円が上昇すると考え買いポジションを保有し、短期的にはドル円が下落すると考え売りポジションを保有したとします。
長期と短期のトレードを両建てで行うことにより、損益は相殺されるうえに、利益獲得のチャンスも広がります。
FXにおける両建ての注意点
上手く利用すれば、リスク対策にもなる両建てですが、以下の4点には注意しましょう。
・両建てを禁止しているFX会社がある
・取引コストが大きくなる
・FX会社によっては強制ロスカットになりやすくなる
・決済を先延ばししやすい
両建てを禁止しているFX会社がある
業者によっては、両建てを禁止しているFX会社があり、ルールを破れば口座凍結や出金拒否される危険性もあります。
そのため、両建てをする際には、ルールを必ず事前に調べておくようにしてください。
また、海外FXの場合には両建て自体はできるものの、複数口座間や他社口座間での両建ては禁止されているということが多いため注意しましょう。
取引コストが大きくなる
両建ては、買いポジションと売りポジションの両方を保有するため、その分取引コストも大きくなります。
スプレッドは片方だけの場合に比べて2倍かかり、特に相場が急変動した時や流動性が低い時間帯にはスプレッドが広がりやすく取引コストも増大します。
また、スワップポイントも忘れてはいけません。
多くのFX会社では買いポジションのスワップポイントと売りポジションのスワップポイントを合わせるとマイナスになるため、両建てをしている限り差額分のスワップポイントを支払い続けることになります。
そのため、両建ての際にはスプレッドとスワップポイントの2つの取引コストに注意してください。
FX会社によっては強制ロスカットになりやすくなる
海外FXでは買いポジションと売りポジションの合計が同じ数量であれば証拠金が相殺されるというルールの会社もありますが、買いと売りの両方のポジションを合わせた証拠金が必要となる会社もあります。
また、同じ通貨ペアの買いポジションと売りポジションの合計を比べ、多い方のみの証拠金が必要という業者もあり、FX会社によって両建てのルールは様々です。
必要証拠金がかさめば、証拠金維持率が下がり強制ロスカットになりやすくなります。
そのため、利用するFX会社では両建てのルールがどうなっているかを事前に調べておきましょう。
決済を先延ばししやすい
両建てをすると損益が相殺されるため、決済を先延ばししようという心理が生まれやすくなります。
しかし、決済を先延ばしすればするほど、前述した通りスワップポイントの支払いが積み重なっていきます。
そのため、両建てしている場合も決済は先延ばしせずに、事前に自分のトレードルールを決めておき、ルール通りに決済すべきです。
両建てについての詳しい説明や、海外FX業者「XM Trading」の両建てルールについてはこちらの記事をご覧ください。
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まとめ
逆張り、ナンピン、両建ては、ハイリスクが伴うことから初心者が手を出してはいけない手法とされています。
しかし、それぞれの特性をしっかりと理解し、利用する場面を選んで使えば、トレードの強い味方となることが分かりました。
根拠なく使えば大きな損失が出る可能性もあるため、独自のルールを確立したうえで利用するようにしましょう。
筆者:海外FXラボ編集部
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