XM(XMTrading)では、複数口座間での両建ては禁止されていますが、同一口座内での両建ては認められています。
ロスカットを回避できるというメリットがある反面、禁止事項も多いので、両建てをする前にルールや手法をしっかり知っておく必要があります。
本記事ではXMの両建てのメリット・デメリット、ルールなどについて解説をします。
両建てとは?
両建てとは、同じ通貨ペアで買い(ロング)と売り(ショート)両方のポジションを同時に保有することです。
両建てをすると、価格が上がっても下がっても利益と損失が相殺されることになります。
つまり同じ取引数量での両建ては理論上、決済している状態と同じなので損益が発生しません。
XMは同一口座内での両建てを公式に認めている
XM公式サイトサポートの「よくある質問」にXMにおける両建てについての質問がありました。
Q:両建て取引を認めていますか?
A:はい、認めています。
1つの取引口座でポジションを両建ていただけます。両建ては、同じ銘柄で「買い」と「売り」両方のポジションを同時に開いた場合に 成立します。
このように、XMは公式に同一口座内での両建てを認めているので安心して両建て取引ができますね。
両建てをする理由
損益が発生しないのなら、なぜ両建てをする必要があるの?
実はXMでの両建ては、考え方や使い方によっては良い効果をもたらすことがあるのです。
両建ては一見意味のない行為のように感じますが、実はいくつかのメリットがあるのです。
XMにおける両建てのメリット
①証拠金が0になりロスカットを回避できる
通常、両建てをすると売りと買いのポジションを両方持つことになるので、2倍の証拠金が必要になります。
しかしXMの両建てには、同じロット数であればその両建てポジションの証拠金が0になるという特長があります。
両建てを認めているFX業者でも両建てをすると両建てポジションの片方の証拠金が必要になりますが、XMにはそれがありません。
これを上手く活用すれば、証拠金不足によるロスカットを防いだり、資金を効率よく回したりできるのです。
ただし両建てポジションの片方を決済した瞬間、もう片方の証拠金が必要になるので注意が必要です。
②異なるトレード計画を同時進行できる
例えば、長期的にロングポジションを保有している状態で短期的にショートポジションを持った場合など、意図せず両建てになってしまうのはよくあることです。
XMは同一口座内での両建てを認めているので、デイトレードとスイングトレードなどポジションの保有期間が異なるトレード計画を同時に進めることができます。
③リスク回避ができる
両建てをすると証拠金維持率が回復するので、一時的にロスカットを回避することができます。
XM両建てのリスク回避における活用例を見てみましょう。
リスク回避の活用例
上昇トレンドを予測し買いポジションを持ったものの、相場が逆方向に向かってしまった状況を例に見てみましょう。
例:レバレッジ888倍、口座残高10万円
①上昇トレンドが始まったと予測し、1ドル=100円で1ロット(10万通貨)の買いポジションを持つ。
②予想とは逆に動き99.4円まで値下がりしたので、0.5ロット(5万通貨)の売りポジションを持つ。
これにより6万円の含み損が3万円になり、証拠金維持率は0.5ロット分が相殺され355%から1243.12%に回復。
※ここで両建てしていなかったら、底値の99円で含み損は口座残高と同じ10万円まで膨らむので、証拠金維持率が20%を切った時点でロスカットになる!
③100.3円に値上がりし上昇トレンドへ持ち直したところで、買い0.5ロットと売り0.5ロットを決済。
この時点で15000円の利益、売り45000円の損失が発生。
④さらに100.5円に上昇したところで残りの買いポジションを決済。
この時点で25000円の利益が発生。
この場合、トータルで5000円のマイナスとなりますが、ロスカットの回避は達成することができました。
残りの買いポジションの決済をもう少し後にすれば、利益を獲得することも可能です。
リスク回避の両建ては解除のタイミングが重要です。
④キャッシュバックやXMPを獲得できる
IBキャッシュバックやXMP(XMポイント)は、取引量が多ければ多いほどたくさん獲得できます。
XMで両建てをすると倍のポジションを持つことになり、キャッシュバックやXMPが通常取引の倍になります。
・両建てを同時に解除する場合、キャッシュバックは発生しない。(別々に決済すればOK)
・キャッシュバックやXMPは、保有時間10分未満のポジションに対しては発生しない。
・XMP狙いの取引は禁止されている。XMP狙いと判断された場合は、ペナルティーが課せられる。
XMPはボーナスに交換したり、現金化したりできるので上手く活用しましょう。
XMP(XMポイント)を効率よく貯める方法は、こちらの記事で紹介しています。
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XMにおける両建てのデメリット
両建ては、投資家によって賛否が分かれる取引手法です。
両建てを行う際には、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
①スワップポイントを支払う必要がある
XMで両建てをするデメリットに、スワップポイントによるマイナスが発生するという点があります。
XMでは、同一銘柄においての両建てでスワップポイントがプラスになる通貨は存在しません。
同一銘柄におけるロングとショートのスワップポイントは足すと必ずマイナスになるよう設定されています。
そのため、中長期的にポジションを保有しようとするとスワップでの損失が大きくなることがあるのです。
②タイミングを見計らうのが難しい
本来損切を入れるべきところで両建てを建てると、損失はそれ以上広がらず、ロスカットの回避にもつながります。
しかし、これは実質損切を行ったのと同じことなので、相場環境を把握し正しく「損切り」する能力が必要になります。
また決済のタイミングにも注意が必要です。
XMでは両建てをした場合、証拠金が0になるので、証拠金維持率を一時的に回復させることができます。
しかし片方を決済した瞬間に、もう片方の証拠金が発生するので、証拠金に余裕がない状態で片方を決済すると、証拠金維持率が低下しロスカットになってしまう場合もあります。
初心者は両建てではなく正攻法でトレード勝率を高めていきましょう。
両建ての解除方法【パソコン版・スマホ版】
両建てを終えたいとき片側を決済すると、残った一方の必要証拠金が発生します。
そうすると証拠金維持率が下がるので、解除のタイミングには注意しましょう。
両建てポジションを同時に決済すること、片方のスプレッドを節約することができ、コストを抑えられます。
両建て解除は以下の手順で行います。
【パソコン版MT4・MT5】両建て解除方法
この項目ではパソコン版での両建て解除方法を解説します。
スマホ版はコチラをクリックしてください。
STEP 1)両建てをしている通貨ペアを右クリックし「注文変更または取り消し」を選択
STEP 2)注文画面で「注文種別」から「両建て解除:通貨ペアを指定」を選択
STEP 3) 黄色い決済ボタンをクリック
STEP 4)両建てポジションの同時決済が完了
また、履歴では両建て解除ができているかを確認することができます。
ただし、「両建て解除」をするとキャッシュバックが発生しないので注意が必要です。
「両建て解除」は片方のスプレッドを節約できる裏技なんだね。
【スマホ版MT4・MT5】両建て解除方法
スマホ版MT4で、両建てを解除する方法は以下の通りです。
STEP 1)トレード画面で両建て解除したい通貨ペアを長押し
STEP 2)「両建て解除」を選択
STEP 3)下の「CLOSE by #〇〇〇〇」をクリックする
以上の手順で両建て解除できます。
両建てできない業者もある
FX業者の中には両建てができない業者もあります。
両建て禁止のFX業者で両建てをすると、元々あったポジションが強制的に決済されてしまいます。
例えば、買いポジションを持った状態で売り注文を出すと、持っていた買いポジションが勝手に決済されます。
両建て可能な業者かどうか、事前に確認しておく必要がありますね。
XMが禁止している両建て
XMで両建てが認められてるのは「同一口座内」のみです。
以下のような両建てはXMで禁止事項と定められているので、トレーダーは注意しなければなりません。
①異なる口座間の両建て
②他業者口座間の両建て
③グループぐるみでの両建て
④特定の通貨をヘッジする両建て
⑤ボーナスのアービトラージ(裁定取引)
口座は一度凍結されてしまうと、元に戻す事はできません。
XMでの口座凍結については以下の記事で詳しく解説をしているので、こちらも併せてご覧下さい。
ここからは、XM両建ての禁止例を詳しく見ていきましょう。
禁止例①異なる口座間の両建て
XMでは1つのアカウントで複数の口座を保有することが可能です。
しかしXMでは、異なる口座間で共通する通貨の両建てすることは禁じられているので注意してください。
XMでは、急な相場変動などにより口座産高がマイナスになってしまった場合、そのマイナス分を補填する「ゼロカットシステム」を採用しています。
異なる口座間で両建てをすると、一方の損失はゼロカットシステムにより補填され、もう一方の口座で利益を上げることが可能になってしまいます。
XMではこうしたゼロカット悪用を防止するため、異なる口座間での両建てを禁止しています。
またEA利用者の場合、自分の知らぬ間に口座間の両建てをしてしまう可能性があるので要注意です。
意図的に口座間の両建てをしたと判断された場合は、ペナルティが課せられることがあります。
XMの規則を違反しないように、保有中のポジションは定期的に確認しておきましょう。
EA(自動売買ソフト)については以下の記事で詳しく解説をしています。
禁止例②他業者口座間の両建て
XMトレーダーの中には、XMの他に海外FX業者の口座を保有している方もいるでしょう。
その場合、XMと他業者間での両建ては禁止行為になるので気を付けて下さい。
XMが業者間の両建てを禁止する理由は、トレーダーによるゼロカット悪用の防止のためです。
一方の口座にゼロカットシステムが適用されると損失はXMによって補填されますが、もう一方は利益が大幅にアップします。
トレーダーのみが利益を得て、XMが損をする可能性があるので業者間の両建ては禁止されています。
禁止例③グループぐるみでの両建て
グループや家族など、複数の人が組んで両建てする手法は禁止です。
グループぐるみの両建てが発覚すると、利益取り消しや口座凍結の可能性があるのでお気を付けください。
海外では、アービトラージ集団が逮捕される事件なども発生しています。
禁止例④特定の通貨をヘッジする両建て
特定の通貨をヘッジする両建てもXMでは禁止されています。
特定の通貨をヘッジする両建てとは、似た動きをする通貨ペアの一方を売り、もう一方を買うことです。
同じ通貨ペアではないため、正確にいえば両建てには当たりません。
しかし、「似た動きをする通貨ペア」で逆のポジションを取る行為は「ヘッジ通貨ペア」と判断される場合があり、規約違反となる可能性があります。
どの通貨ペアが「似た動きをする通貨ペア」なのか指定されている訳ではありません。
似た動きをする通貨ペアを使っての両建ての例は以下の通りです。
・「ユーロ円」と「ユーロドル」
・「ドル円」と「ユーロドル」
意図的に禁止されている両建てを繰り返した場合、規約違反と判断されることがあるので要注意です。
禁止例⑤ボーナスのアービトラージの両建て
ボーナスアービトラージとは、ボーナスシステムとゼロカットシステムを利用して利益を狙う取引手法です。
ボーナスを提供しているFX業者の口座を複数利用して両建てをすることは禁じられています。
なぜなら、絶対に利益が生まれるからです。
例えば、以下のようにボーナスを利用した両口座で正反対のポジションをとります。
10万円分の値動きがあり、片方業者での手元が0になった時、もう片方では10万円の利益が出ています。
この手法を使うと、確実に利益を生み出せてしまうのです。
この手法は「ボーナスの現金化」と判断され、XMの規則違反になるので注意しましょう。
XMでの不正な両建ては必ずバレる
海外FX業者では怪しい操作や不審な挙動を検出する、不正取引検出システムを採用しています。
ですので、違反行為はバレると思っておいて下さい。
NG行為を何回も繰り返すとマークされ、悪質だと判断された場合は大きなペナルティを受けます。
禁止されている両建てがバレた場合のペナルティ例
・レバレッジの引き下げ
・口座閉鎖
・口座凍結
・出金拒否
など、上記の重いペナルティを受けることになります。
口座は凍結されると、入出金もできなくなります。
XMでは「同一口座内での両建て」のみ許可されています。
両建ては儲かる?
結論から言うと、両建てで大儲けできる可能性はとても低いです。
両建てはスプレッドなど余計なコストがかかったり、予想が外れ大損するリスクもあります。
非常に複雑な手法でもあるので、安易に手を出すべきではありません。
両建てをするには、十分な知識や経験、スキルが必要なのです。
ではここからは、XMにおける両建ての手法を見ていきましょう。
両建ての主な手法
両建ては、投資家によって賛否は分かれる手法です。
自身のトレードに取り入れる際は、デメリットやリスクも把握した上で行いましょう。
相場が大きく動くときの両建て
重要な指標発表や大きなイベントなど、相場が大きく動く可能性のあるときに両建てでポジションを建てる方法です。
・雇用統計の発表
・月曜日の窓開け
・窓埋めの両建て
・経済指標発表時
・大統領選挙などのイベント時
こちらは米雇用統計が発表された2021年5月21日21:30の値動きです。
非農業部門の雇用者数が予想を大きく下回り、ドル売りが先行するという結果になりました。
発表前に両建てをもち、一方向に値が伸び出したら、損を出している方のポジションを損切りし、もう一方の利益を伸ばすという方法です。
ただし、このような状況では、突然逆方向へすすむという「ダマシ」も多く、損切りのタイミングの見極めはとても難しいと言えます。
また、相場変動の大きい状況では、スプレッドが大きく開くことも多いので、損切り幅にも注意しなければなりません。
つなぎ売り(長期と短期で異なる方向での両建て)
どんなに強いトレンド相場でも、一時的な反転を繰り返しトレンドを形成していきます。
その波のような動きを利用し両建てを行うテクニックが「つなぎ売り」です。
つなぎ売りとは
本来は株式投資でよく使われている言葉で、上昇トレンドを予測し買いポジションをもちつつ、細かく売りポジションを持つこと。
逆に下降トレンドを予測し、売りポジションをもちつつ、細かく買いポジションを持つことも指す。
トレンド相場の中の押し目で、つなぎ売りをうまく利用すれば、買いと売りの両方で利益を狙うことが可能です。
またつなぎ売りは、相場が予想とは逆の方向に動いた場面でも、利益を確保する手段として使うことができます。
上記の例は、買いポジションのエントリー後に、相場が逆方向へ向かったときのつなぎ売り手法です。
①米雇用統計の発表を受け景気回復への期待が高まったことから、上昇トレンドを予測し買いをエントリー。
②ところが相場が逆行し3本陰線が出現したことから、さらなる値下がりを予測し売りポジションを持つ。
③上昇トレンドに戻る兆しが見えたところで、売りポジションを決済し利益確定。
④買いポジションの利益がしっかりと出たところで利益確定。
このように相場が逆行した状態でも、つなぎ売りをうまく利用すれば利益を得ることができます。
つなぎ売りは、長いスパンのトレンド利益を軸とし、その中で小さな利益を積み上げるのが基本です。
目標達成までのスパンが長いので、その間に起こりうる逆行に耐えられるだけの証拠金維持率を維持しトレードすることが大切です。
予測をまちがえると、証拠金維持率が下がり利益確定までしのぐことができません。
スワップ狙いの両建て
基本的に売りと買いのスワップポイントの合計は、すべてマイナスになるように設定されています。
そのため、同一業者でのスワップ狙いの両建ては儲かりません。
スワップは業者が各自設定するため、スワップが異なることを利用し利益を得られる可能性があります。
しかし、他業者間での両建てはXMの規約違反になるのでしてはいけません。
まとめ
今回は、XMにおける両建てについて詳しく解説しました。
XMにおける両建てはトレーダーの間でも賛否両論あり、メリット・デメリットが存在します。
同一口座内の両建てを上手く活用すれば、リスク回避の手段にもなるので見逃せません。
ただし、初心者にとって簡単な手法ではないので、それらに注意して取引を行う必要があります。
初心者は無難に正攻法で取引する方がいいかもしれないですね。
筆者:海外FXラボ編集部
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