FXについて勉強していると、「フィボナッチ」という言葉を何度か耳にしたことがあるかと思います。
フィボナッチはFXトレーダー間で有名な数列であり、とても便利な道具でもあります。
しかし、「ネット上の情報が膨大すぎて、どう使うのかがいまいち分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フィボナッチの基本的な知識とフィボナッチをFXに応用する方法を解説していきます。
フィボナッチとは?
イタリア数学者レオナルド・フィボナッチが発見した数列。
FXでは相場の動きを予測するために使用されることがある。
フィボナッチ比率を用いて為替の動向を予想する
フィボナッチを使用して、値動きを予測することができます。
では、なぜフィボナッチが値動きの予測に有効なのでしょうか?
それは「トレーダーたちが無意識にフィボナッチの数値反応してしまうから」や「たくさんのトレーダーがフィボナッチを使って取引をしているため、1つのポイントに売買が集中しやすいから」などと言われています。
身の回りのフィボナッチ
ご紹介した「0.618」「0.382」「0.236」などの倍率は「フィボナッチ比率」と呼ばれており、フィボナッチ数列のどの数字をとって計算しても当てはまります。
数あるフィボナッチ比率の中でも、「1.618倍」は人間が最も美しいと感じる比率であり、「黄金比」と呼ばれています。
モナリザ、ピラミッド、パリの凱旋門などの建築物、またApple社、Google社のロゴなどもフィボナッチを用いて作られています。
また花びらの数、ヒマワリの種の並び、貝の螺旋の形など、自然界にもフィボナッチ数列が溢れています。
このように、フィボナッチは人間が美しいと感じてしまう数字です。
そのため、数値がフィボナッチになると、トレーダーたちが無意識に反応して、ついそのタイミングで取引してしまうことがあります。
そして、この現象を知ったトレーダーたちがフィボナッチをわざと意識して取引をすることで、より多くの売買がフィボナッチの数値に集中するのです。
フィボナッチ数列の特徴
フィボナッチの特徴を4つご紹介します。
特徴①
特徴②
どの数字も、1つ後ろの数字に対して約「0.618倍」の割合になります。
また1つ前の数字に対して約「1.618倍」の割合になります。
数字が大きくなればなるほど「0.618」「1.618」に近づきます。
特徴③
どの数字も2つ後ろの数字に対して「0.382倍」、2つ前の数字に対して「2.618倍」の割合になります。
また数字が大きいほど、その割合に近くなります。
特徴④
どの数字も3つ後ろの数字に対して「0.236倍」、3つ前の数字に対して「4.236倍」の割合になります。
また数字が大きくなるほど、その割合に近くなります。
XMTradingのフィボナッチ系分析ツールは5種類
MT4では5種類のフィボナッチが使えます。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ比率からサポート・レジスタンスラインを導き出し、押し目や戻り目を判断するテクニカル分析の一手法。
フィボナッチツールの中で、最も使われている分析ツールでもある。
フィボナッチ・リトレースメントは、チャート上で2つの極値(上値と下値)を取り、その差分を主要なフィボナッチ比率で分割することで得られます。
フィボナッチ比率に基づいた23.6%、38.2%、61.8%、161.8%、261.8%、423.6%それから補足の0.0%、50.0%、100.0%の9本の線から成り立っています。
161.8%、261.8%、423.6%などは数値が大きすぎてチャートからはみ出してしまい、見えないことが多々あります。
フィボナッチ・リトレースメントの引き方
1.「挿入」→「フィボナッチ」→「リトレースメント」の順番にクリックします。
2.直近の安値をクリックし、そこから直近の高値までドラッグ、または直近の高値をクリックし、そこから直近の安値までドラッグします。
フィボナッチ・リトレースメントの使い方
リトレースメント(Retracement)は「綾戻し:価格が全体的な相場の方向性に反して、逆の方向に動くこと」という意味です。
相場というのは完璧な一直線ではなく、トレンドを形成する過程で一時的に「反落/反転」する局面が必ず発生します。
その一時的な反転をリトレースメントを使って判断し、「押し目買い」や「戻り売り」を狙います。
押し目買い:押し目で買いポジションを持つこと。
戻り目:下降トレンド中に価格が一時的に上がったところ。
戻り売り:戻り目で売りポジションを持つこと。
基本的に23.6%、38.2%、61.8%、50.0%を基準に押し目や戻り目を判断します。
0.0% は反発/反落の起点とされ、100.0%が本来の値動きに対する完全な反発/反落になります。
そのため、どこを起点としてフィボナッチ・リトレースメントを引くのかが結果に大きく影響します。
利用目的:サポート・レジスタンスラインとして使用し、押し目や戻り目の判断を行う
トレードスタイル:押し目買い・戻り売り(トレンド方向への順張り)
フィボナッチ・リトレースメント活用例
このチャートは全体的には緩やかな上昇トレンドを形成しています。
最高点に達した後に、価格が61.8%付近まで下落しています。
ここは押し目買いのタイミングになります。
その後、一度上昇して、また61.8%付近まで下落。
0%付近まで上昇して、そこから38.2%付近まで下落しました。
この2回とも押し目買いのタイミングになります。
61.8%と38.2%はよく反転するタイミングなので要注意です。
フィボナッチ・エキスパンション
トレンドがどこまで続くのかを分析し、決済ポイントを判断するための分析ツール。
61.8%、100%、161.8%の3本の線で構成されています。
リトレースメントが戻り目や押し目を見抜くための指標だったのに対し、エキスパンションはトレンドがどこで終わるかを分析するためのものです。
フィボナッチ・エキスパンションの引き方
フィボナッチ・エキスパンションは引き方が少し難しいので、詳しく説明していきます。
STEP1
「挿入」→「フィボナッチ」→「エキスパンション」の順に選択します。
STEP2
直近の安値から直近の高値までドラッグします。 または直近の高値から直近の安値までドラッグします。
STEP3
フィボナッチ・エキスパンションをダブルクリックすると、赤線の両端と関節部分が白くなり、移動可能になるので、一番右にある点を押し目(戻り目)の部分に合わせます。
STEP4
フィボナッチ・エキスパンションをもう一度ダブルクリックすると、白い点がなくなると設定完了です。
フィボナッチ・エキスパンションの使い方
フィボナッチ・エキスパンションは「トレンドがどの値で終わるか」を分析できます。
なので「どのタイミングで決済すればいいのか」の判断材料として使用することができ、順張りに向いています。
161.8%辺りは上昇トレンドの最高値(下降トレンドの最安値)になることが多く、161.8%まで行くと、反転する傾向が強いです。
61.8%はサポートラインで、61.8%付近まで下落(上昇)すると、トレンド方向が転換する確率が高いです。
利用目的:トレンドの最高値や最安値を分析し、決済のタイミングを判断する
トレードスタイル:トレンド方向への順張り
フィボナッチ・エキスパンションの活用例
61.8%まで下落した後、161.8%まで上昇するというのを繰り返しています。
この場合、61.8%付近で買いポジションを持ち、161.8%付近で決済します。
フィボナッチ・タイムゾーン
数少ない横軸(時間軸)を分析するツール。
相場の高値・安値のタイミングを調べることができる。
フィボナッチ数である0、1、2、3、5、8、13、21、34の9本の線で構成されています。
フィボナッチ・タイムゾーンを使用しているトレーダーは、分析ツールの中でもよく使われている移動平均線やMACDに比べると、多い方ではありません。
相場はトレーダーの行動を反映するものなので、そのツールを使う人が多ければ多いほど、相場の実際の動きと分析結果が一致する可能性が高くなります。
そのため、たくさんの人に使用されているツールに比べて、信頼度が低いです。
使っている人が少ないのがネックですね。
フィボナッチ・タイムゾーンの引き方
1.「挿入」→「フィボナッチ」→「タイムゾーン」の順番にクリックします。
2.直近の安値から直近の高値にドラッグまたは直近の高値から直近の安値にドラッグします。
フィボナッチ・タイムゾーンの使い方
フィボナッチ・タイムゾーンは将来いつ相場の転換点が現れるのか知ることができます。
しかし、転換点のタイミングを知ることはできても、それがどんな転換点なのかを知ることはできません。
そのため、他の分析ツールと組み合わせて使うことをおすすめします。
フィボナッチ・リトレースメント:押し目・戻り目を予測
フィボナッチ・エキスパンション:利確価額の予測
フィボナッチタイムゾーンは過信せず分析の補助として活用しましょう。
利用目的:時間的なタイミングを予測する
ポイント:他のツールと一緒に使う
フィボナッチ・タイムゾーンの活用例
タイムゾーンと高値/安値がぴったり同じタイミングになっていますね。
例えば、0の線上で、相場は安値を記録しており、0の安値から徐々に上がっていた相場が1の線を過ぎたあたりから、下がり始めています。
フィボナッチ・ファン
フィボナッチ・リトレースメントに時間的概念を取り入れた扇状の分析ツール。
サポート・レジスタンスラインとして使用したり、トレンドの強さを測ることができる。
フィボナッチ・ファンはフィボナッチ比率に基づいた38.2%、61.8%、補足の50.0%の3本の扇状に引かれた線で成り立っています。
フィボナッチ・リトレースメントに少し似ていますが、リトレースメントは水平に線が引かれているのに比べ、ファンは扇状に引かれています。
相場は上下だけではなく、時間(横)の動きも加わり、斜めに動いていくため、リトレースメントの水平な線だと、値動きのイメージがしづらいです。
ファンは線が斜めに引かれているので、時間軸も考慮した値動き予測が可能なのです。
フィボナッチ・ファンの引き方
1.「挿入」→「フィボナッチ」→「ファン」の順番にクリックします。
2.直近の安値から直近の高値にドラッグします。 または直近の高値から直近の安値にドラッグします。
フィボナッチ・ファンの使い方
フィボナッチ・リトレースメントと同じように、サポート・レジスタンスラインとして使うことができます。
またトレンドの強さの測定に使用することもできます。
トレンドが強い場合は、相場が38.2%に留まる傾向にあります。
逆にトレンドが弱い場合は、50.0%や61.8%あたりに戻る傾向があります。
利用目的:サポート・レジスタンスラインとして使用する、トレンドの強さを測る
トレードスタイル:押し目買い・戻り売り(トレンド方向への順張り)
フィボナッチ・ファンの活用例
こちらは上昇トレンドのチャートです。
初めの方は、38.2%のラインがサポートラインとして効いているのが分かります。
38.2%を突き抜けて下降した後、61.8%付近からまた上昇しています。ここは押し目買いのチャンスです。
その後、50.0%に達し、また下降していき、サポートラインとして機能していた61.8%を突き抜けて下降し続けています。
サポートラインを突き抜けたということは、売りに勢いがついていると見られ、相場が全戻しになったり、下降トレンドに切り替わる可能性があります。
フィボナッチ・アーク
フィボナッチリ・リトレースメントに時間的概念を取り入れた円弧型の分析ツール。
フィボナッチ・ファンと同じく、フィボナッチ・リトレースメントに時間の概念を取り入れたものです。
アークは英語で「円弧」という意味です。
時間と値幅で表示をするので、ツールは円弧型をしています。
アークを描くときに引いた線の安値または高値を100%として、61.8%、50.0%、38.2%の線が出てきます。
フィボナッチ・アークの引き方
フィボナッチ・アークは線を引いた後に詳細を設定しないと、うまく楕円形に表示されない場合があるので、こちらで詳しく説明していきます。
STEP1. 線を引く
「挿入」→「フィボナッチ」→「アーク」の順番にクリックします。
他のフィボナッチツールと同じように、直近の安値から直近の高値にドラッグまたは直近の高値から直近の安値にドラッグします。
上のチャートを見て分かるように、STEP1の作業だけだと、ラインがほぼ水平で楕円形になりません。
STEP2. 詳細設定を開く
チャート上にカーソルを置いて右クリックし、出てきたメニューから「表示中のライン等」を選択します。
STEP3. フィボナッチ・アークの編集画面に入る
詳細設定したいフィボナッチ・アークを選択し、「編集」をクリックします。
STEP4. 詳細を設定する
デフォルト設定のままだと、「スケール」は1で、「楕円」にチェックマークが入っていない状態になります。
今回はスケールを5にして、楕円にチェックを入れてみました。
スケールが小さい⇒ラインのカーブが穏やかになる
スケールが大きい⇒ラインのカーブが急になる
チェック入れる⇒円になる
チェック入れない⇒半円になる
綺麗な楕円形になりました。
フィボナッチ・アークの使い方
基本的な使い方はフィボナッチ・リトレースメントと同じで、トレンドに対してどのくらい戻ってくるかを知るために使用します。
使用人口が少ないため、フィボナッチ・アークだけでは心許ない場合は、人気の高いフィボナッチリ・トレースメントと併用すると、安心です。
利用目的:サポート・レジスタンスラインとして使用し、押し目や戻り目の判断を行う
トレードスタイル:押し目買い・戻り売り(トレンド方向への順張り)
ポイント:フィボナッチ・トレースメントと併用するのがおすすめ
フィボナッチ・アークの活用例
こちらは下降トレンドのチャートになります。
アークと価格の交点に注目してください。
38.2%にライン上で相場が少し戻っているところが戻り売りのタイミングになります。
50.0%のところでは相場に変化が見られませんでしたが、61.8%を過ぎてから一気に下落しています。
ラインの詳細を設定する方法・削除方法
ラインの詳細を設定したり、削除したりしたい場合は、まずラインの設定画面に入る必要があります。
初めにチャート上にカーソルを置いて、右クリックしてください。
すると、メニューが出てくるので「表示中のライン等」をクリックします。
ラインの色・形・太さ変更
ラインの色や形、太さは以下の手順で変更できます。
STEP1
設定画面に入ったら、自分が編集したいラインのバーをクリックし、「編集」を選択します。
※きちんと選択されているとバーが青くなります。バーが青くならない場合はもう一度クリックしてください。
STEP2
編集画面の「フィボナッチ・レベル」タブを選択し、「色」「形」「太さ」を好きなように変更して「OK」をクリックします。
ラインのレベル変更
ラインのレベル変更は以下の手順で行います。
STEP1
色変更の時と同じように、自分の編集したいラインをクリックして「編集」を選択します。
STEP2
好きなように線を「追加」、「削除」、「デフォルト設定に戻す」などします。
この時「レベル設定」はその線がフィボナッチの何%か(EX:0.382は38.2%のライン)を示しています。
「説明」でチャート上にどのように表記させるかを示しており、ダブルクリックすると変更することができます。
ラインの削除方法
設定画面に入ったら削除したいラインを選択し、「削除」をクリックして完了です。
まとめ
5種類のフィボナッチツールの中からどれを選べばいいか分からない場合、まずはフィボナッチ・リトレースメントから使ってみましょう。
慣れてきたら、フィボナッチ・エキスパンションも使用してみてください。
初心者⇒フィボナッチ・リトレースメント
上級者⇒フィボナッチ・エキスパンション
基本的に38.2%・50.0%・61.8%のラインが重要なので、その3本に注目して、エントリーや決済のタイミングをうかがいましょう。
また、フィボナッチを移動平均線と同時に表示したり、エリオット波動と組み合わせることで、より精度が高いトレードができます。
ぜひやってみてください。
筆者:海外FXラボ編集部
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