「豪ドル円をFXで取引してみたい」
「豪ドルってどんな特徴があるの?」
「2022年以降の豪ドルの見通しが知りたい!」
豪ドル(オーストラリアドル)は、資源国通貨の代表格として、日本でも根強い人気を誇る通貨です。
今回は豪ドル取引をする前に知っておきたい、豪ドルの特徴や取引するうえでの注意点などを紹介していきます。
今後の動きについても解説しているので、これから豪ドル取引してみたい方はぜひ最後までご覧ください。
豪ドル(オーストラリアドル)とは?
まず初めに豪ドルについての基本的な情報を確認していきましょう。
豪ドル(オーストラリアドル)とは
農作物、石油、金などのエネルギー資源など様々な資源を輸出するオーストラリアの法定通貨
豪ドルはかつて高金利通貨として非常に人気が高かった過去があります。
当時は豪ドルのスワップポイントを狙ったFX取引が多く見受けられました。
スワップポイントとは
FX取引を行う際に、金利の異なる2国間の通貨ペアに生じる金利差の調整額のこと
ポジションを保有し日をまたぐことで発生し、差がプラスになれば利益を得られる反面、マイナスになれば支払うことになる
例えば高金利通貨の南アフリカランド(ZAR)と低金利通貨の日本円(JPY)のペアを取引する場合
- 高金利通貨(ZAR)を購入し、低金利通貨(JPY)を売る場合 → スワップポイントがもらえる
- 低金利通貨(JPY)を購入し、高金利通貨(ZAR)を売る場合 → スワップポイントを支払う
つまり、高金利通貨は保有しているだけで、毎日スワップポイントとして利益が受け取れるのです。
もし、1ロットあたりのスワップポイントが10円ならば、40ロットを1年間保有した場合、146,000円もの利益をもらうことができます。
しかし、オーストラリアの金利は徐々に低下しており、高金利通貨として選ばれる事は少なくなってきています。
上のグラフからも、日本との政策金利差がだんだんと狭くなっていることが分かります。
それでもスワップポイントにおいては、メジャーなドル円やユーロドルよりは条件がいいと、個人投資家や投資信託の方面からも根強い人気があります。
スワップポイントについての詳しい説明や、海外FX業者「XM Trading」のスワップポイントについてはこちらをご覧ください。
XMスワップポイントはには、メリットもあればデメリットも。仕組みや計算方法を正しく理解し、安定した利益が狙いましょう。
FXの豪ドルの特徴
ここからは、豪ドルの特徴について6つほど紹介していきます。
- 取引量が世界第5位
- 格付け会社の評価が高い
- 資源国通貨である
- 資源国通貨の中では比較的安定している
- 輸出先、商品相場の影響を受けやすい
- 少額の証拠金で取引可能
取引量が世界第5位
豪ドルの取引量は世界第5位を誇ります。
全世界で取引されている通貨の順位は以下の通りです。
- 米ドル(USD)
- ユーロ(EUR)
- 円(JPY)
- 英ポンド(GBP)
- 豪ドル(AUD)
1位は米ドルですが、豪ドルはユーロや日本円、英ポンドなどの有名通貨に次いで世界第5位の位置づけとなっています。
ただし上位の通貨と比べると、やはり圧倒的に取引量は少なく、機関投資家などの取引を反映しやすいという特徴を持ちます。
FXの価格も、他のモノと同様に需要と供給によって決まります。
例えば、取引量100の豪ドルと取引量10,000の米ドルに対し、機関投資家が50の取引を行ったとします。
この場合、米ドルにおける機関投資家の取引は全体の200分の1であるのに対し、豪ドルでは半分を占めることになります。
このように、取引量が少ない通貨ペアの取引に、機関投資家などが介入し大量に注文を出せば相場は変動しやすくなるのです。
つまり豪ドルは、買いの大量注文が入れば上昇しやすく、売りの大量注文がはいれば下落しやすいと言い換えられますね。
反対に米ドルなど取引量の多い通貨では、豪ドルに比べて機関投資家の動きは反映しづらくなっています。
格付け会社の評価が高い
豪ドルは格付け会社からの評価が高い通貨です。
格付け会社というのは、通貨を発行する国の安定性や経済状況を視覚的に評価する会社のことを指します。
投資家も格付け会社が様々な方面から判断した格付けランクを参考にしながら投資を行っているのです。
FXでは、通貨を発行する国自体に信頼性や安定性があれば、急な価格変動や地政学リスクなどを避けやすくなります。
反対に格付け会社からのランクが低くなれば、その国自体のリスクが上がっていると判断され、取引量が減ってしまったり、価格が下がってしまったりすることも考えられます。
ちなみに、豪ドルは以下の大手米国格付け会社から最高ランクで評価されています。
- S&P:AAA(最高ランク)
- フィッチ:AAA(最高ランク)
- ムーディーズ:AAA(最高ランク)
そのため、国自体が経済破綻するリスクが低く、FXにおいては豪ドルの価値が一定水準に保たれるようになっていると言えるでしょう。
資源国通貨である
豪ドルは、資源国通貨の中で最もメジャーな通貨であり、商品市場と相関関係があります。
そして、オーストラリアの輸出の半数以上はエネルギー資源(鉱物や石炭など)が占めているため、原油先物価格との相関関係が色濃く表れるという特徴を持っています。
こちらは豪ドル円(AUDJPY)が原油先物価格(WTI原油先物:世界で最もメジャーな原油価格)とどれくらい相関関係があるか、係数を使って表示させたチャートです。
チャート下部の青部分が相関係数です。
- 0より上にいけばいくほど、原油価格と正の相関が強くなる
- 0より下にいけばいくほど、原油価格と負の相関が強くなる
こう見ると、原油価格とほとんど相関があることが分かりますね!
ちなみにゴールドの先物はこちらです。
強い相関関係がある部分も見られますが、原油価格と比べると逆相関(負の相関)の割合が目立ちます。
つまり豪ドルの取引を行う前には、原油先物価格を確認しておく必要があるということです。
資源国通貨の中では比較的安定している
資源国通貨の中では、オーストラリアは経済的に比較的安定しており、国自体の不安要素が気になるという方でも投資しやすいというメリットがあります。
主な資源国通貨の種類は以下の通りです
- 豪ドル
- ニュージーランドドル
- カナダドル
- 南アフリカランドドル
- ロシアルーブル
資源国通貨は輸出先の国の景気に左右されやすく、商品市場にも影響を受けやすい特徴を持っています。
もちろん、それ以外に自国の安定性によっても価格が変動します。
もしも自国の経済状況が不安定であれば、通貨の価値も暴落しやすくなり投資家にとって不都合が生じる場合もありますね。
そうです。安定している = 急な値動きが出づらく初心者向けの資源国通貨と言えるでしょう。
輸出先、商品相場の影響を受けやすい
オーストラリアは輸出大国であるため、豪ドルの価値は輸出先の景気による影響を受けやすくなります。
主な輸出先は中国を始めとしたアジア諸国が占めているため、中国などの景気が悪化してしまった場合、以下の流れで影響を受けることになります。
他にも、前述したように原油価格などと相関関係があるため、原油価格が下がるとオーストラリアが輸出で得られる利益も減ってしまいます。
すると景気悪化につながり、豪ドルの価値も下がってしまうのです。
豪ドルを取引する際には中国の経済状況にも注目しておく必要がありそうですね。
少額の証拠金で取引可能
FXでは、取引所の口座内に予め資金を担保として預け入れる「証拠金」と呼ばれる資金が一定額必要となります。
預け入れることで、最大数百倍の金額を取引できる「レバレッジ」を利用して取引することができるのです。
国内のFX業者では、通貨ペアごとに証拠金基準額が設定されていますが、豪ドルはその額が少なめに設定されている、という特徴があります
取引所ごとに必要な証拠金の水準は異なりますが、一般的にドル円やユーロドルなどに比べ、豪ドル円などは少額の証拠金を預け入れて取引を開始できます。
「FX取引を少額で始めたい」「あまり資金を入れたくない」という方でも始めやすいと言えます。
FXでの豪ドルの値動きの特徴
ではそんな豪ドルの取引を行う際に、知っておきたい値動きの特徴を2つほど紹介していきます。
- 方向性が出やすい
- 午前中に動きやすい
方向性が出やすい
豪ドルの取引量は、世界第5位と上位に食い込んでいるものの、機関投資家などの動きを反映しやすいという特徴があります。
つまり、値動きが乱高下しやすく、一度上昇や下落のどちらかに価格が動くと、その方向に向かって価格変動しやすいと言えます。
値動きが大きいため、短期ポジションのみを保有して利益を狙うデイトレードメインの投資家からは支持されている通貨です。
一度流れに乗れれば一気に利益を伸ばすこともできそうですね。
長期保有でスワップポイントを狙う取引も可能ですが、どちらかと言えば、差額で利益を得ていく方法が好まれる通貨と言えるでしょう。
デイトレードについてのコツや手法を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「FXのデイトレードは儲かるって本当??」 「デイトレードのコツが知りたい・・・」 「スキャルピングとはどう違うの?」 デイトレードは多くのトレーダーが実践するトレードスタイル。 忙しい人や初心者にもおすす …
午前中に動きやすい
FXは、全世界の取引市場をネットワークでつなぐことで、平日24時間の取引を可能にしています。
トレーダーは取引市場を選ぶことなく、注文を出した時間帯に応じて、自動的に市場が振り分けられて取引ができるようになっています。
市場は大きく4種類に分けられています。(※時間は日本時間)
- 早朝:オセアニア市場(ウェリントン、シドニー)
- 昼間:アジア市場(東京、香港、シンガポール、バーレーン)
- 夕方:ヨーロッパ市場(ロンドン、フランクフルト、チューリッヒ)
- 夜間:ニューヨーク市場(ニューヨーク)
豪ドルはオセアニア市場と日本市場がメインで取引される通貨で、午前中が最もよく動きやすいといわれています。
両市場のオープンが重なる9:00~10:00が特に値動きが大きくなる傾向があります。
また、オーストラリアの経済指標の多くは、日本時間9:30(冬時間10:30)に発表されるため、発表前後で価格が乱高下しやすい点も覚えておきましょう。
逆にオセアニア市場や日本市場が閉まる夜間は、豪ドルの値動きが出にくいということですね。
豪ドル(オーストラリアドル)のこれまでの価格推移
では、これまでの豪ドルの価格推移を紹介していきます。
2019年から現在にかけて、豪ドルがどのような動きをしてきたかを見ていきましょう。
2019年1月~:中国経済の悪化
アベノミクス以降徐々に下落を続けていた豪ドルですが、2019年は中国の景気悪化の影響を受け、8月には70円近くまで下落しています。
移動平均線などの指標が下向きになっており、下落傾向であることがテクニカル分析面からも読み取れます。
2020年1月~:コロナショックによる急落
2020年にかけても下落傾向は続き、さらにこのタイミングで「コロナショック」と呼ばれる世界的なパンデミックによる急落が起こります。
2020年1月から3月にかけては、どの通貨でも下落が目立った時期です。
豪ドルも例外ではなく、一気に60円付近まで下落しています。
ここまで勢いよく急落した背景には、新型コロナウイルスの発生源が中国であるとされる報道の影響もあります。
パンデミック発生時期は、中国経済の悪化を懸念した「豪ドル売り」が活発になり、「円買い」の動きが目立った期間と言えるでしょう。
その後は、徐々に上昇を続け2021年には80円台まで回復しています。
2022年1月~:ウクライナ情勢を受けた急騰
今年に入ると、ウクライナ情勢を受けた一時的なリスク回避による下落がみられました。
しかし、オーストラリアがウクライナから地理的に遠く、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けにくいと判断され、原油価格の高騰も手伝い一気に95円台まで急騰しました。
中国経済の悪化によって下落したり、原油価格の高騰によって上昇したりしていますね。
豪ドル取引で注目すべき経済指標
ここからは、そんな豪ドルを取引する上で注目しておきたい経済指標を紹介していきます。
焦点は、オーストラリアとそれに関連する中国の指標になります。
特に初心者の方は、以下にあげる8つの指標を優先して確認することをおすすめします。
- オーストラリアの政策金利
- オーストラリアの国内総生産(GDP)
- オーストラリアの貿易収支
- オーストラリアの小売売上高
- オーストラリアの雇用統計
- 中国の国内総生産(GDP)
- 中国の消費者物価指数(CPI)
- 中国の鉱工業生産
オーストラリアの政策金利
オーストラリアの政策金利は、豪ドルを取引する上では欠かせない経済指標の1つです。
日本における日本銀行と同じ立ち位置である、オーストラリア準備銀行(RBA)が毎月第一火曜日に決定しています。
※1月は政策金利決定の会合が行われないため、1月の発表はなし
日本時間の12:30(冬時間は13:30)に発表されており、金利が上昇すると豪ドルが買われ、金利が低下すると豪ドルが売られる傾向にあります。
金融政策を色濃く反映する指標なので、必ず確認しておきましょう。
オーストラリアの国内総生産(GDP)
オーストラリアの国内総生産(GDP)を見ることで、オーストラリアの景気は良好なのか、悪化しているのか、を判断することができます。
「GDP数値の伸び率 = 対象国の経済成長率」と理解しておくと分かりやすいのではないでしょうか。
GDPが予想よりも大幅に上回った場合は豪ドルが買われ、予想よりも大幅に下回った場合は豪ドルが売られることが多いくなります。
ちなみにオーストラリアのGDPはアメリカや日本、中国よりも低い数値となっています。
GDPは前月比や前年比で発表されるので、月単位や年単位で成長度合いが比較しやすいようになっていますよ。
取引する通貨ペアに関係するGDPは要チェックですね。
オーストラリアの貿易収支
オーストラリアの経済状況を知るために、貿易収支を確認しておきましょう。
輸出が好調で景気が上向きなのか、逆に輸出が不調で景気が下向きなのかを判断することで、豪ドルの価格予想に役立ちます。
もしアジア経済などの景気が悪化していた場合は、オーストラリアから輸入する金額も減少し、オーストラリア自体の貿易収支も赤字になる可能性が考えられます。
「中国や他国の経済状況を確認するのは難しい」という方は、オーストラリアの貿易収支を確認するところから始めてみましょう。
オーストラリアの小売売上高
オーストラリアの小売売上高は、国内の消費状況を確認する上で役に立ちます。
名前の通り、小売業やサービス業などの月間売り上げがどのように推移しているかを判断できる指標です。
小売売上高の数値が上昇すれば、国内での消費は前向きで、オーストラリア自体の経済状況も良好であることが読み取れます。
それにより、景気も上向きになると捉えられ、豪ドルが買われやすくなります。
オーストラリアの雇用統計
雇用統計では、新規雇用者数と失業率の項目を確認すればOKです。
雇用が悪化すると景気後退につながっていくと考えられ、豪ドルが売られます。
雇用統計発表前には、リスク回避の動きでポジション決済する人も見られます。
つまり豪ドルが売られるということです。
雇用統計の日程も加味しながらポジションを持つようにしましょう。
新規雇用者数の増加と失業率の減少が豪ドル買いの材料となるのですね。
中国の国内総生産(GDP)
中国の経済指標も確認する余裕があれば、中国の国内総生産(GDP)にも注目しておきましょう。
数値が上がり、好調であった場合は豪ドルもつられて上昇する可能性もあるため、中国のGDPの推移をチェックすることをおすすめします。
中国の消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数は、中国の景気状況の把握に役立つ指標と言えます。
この指標は消費者が購入する商品の価格推移を表しており、インフレ率も判断できるため、政策金利に影響を与える数値として重要視されています。
中国の消費が後退すればCPIも下落し、景気がこれから悪化していく可能性があると読み取ることもできます。
つまり、CPIが下がると豪ドルも売られる可能性があるということですね。
中国の鉱工業生産
もっと詳しく中国の経済状況を知りたいという方は、鉱工業生産も確認しておきましょう。
鉱工業生産は製造業などの動向を調査し、中国の経済状況が良いのか、それとも悪化しているのか、経済状況の判断に使える指標です。
中国の経済活動が悪化すると、中国の景気悪化だけでなく、オーストラリアにも悪影響を及ぼす可能性があるので必ず確認をしておく必要があります。
他にも、慣れてくれば世界経済全体に影響を及ぼす「アメリカの金融政策」や豪ドル円をトレードする場合には「日本の金融政策」についても確認しておく必要があります。
アジア・オセアニア系の経済指標は、平日の午前中に発表されることが多いです。
経済指標が豪ドルに与える影響
以下は、それぞれの経済指標が豪ドルにどのような影響を与える可能性があるかを、簡単にまとめた表です。
ほとんどの経済指標では、数値が上昇すれば豪ドルも上昇し、数値が下落すれば豪ドルも下落する可能性が高くなります。
ただし、雇用統計の失業率のみ反対の対応になるので、注意しておきましょう。
国名 | 経済指標名 | 豪ドルへの影響 |
---|---|---|
オーストラリア | 政策金利 | 金利上昇 → 豪ドル上昇 金利下落 → 豪ドル下落 |
国内総生産(GDP) 貿易収支 小売売上高 雇用統計(新規雇用者数) | 数値上昇 → 豪ドル上昇 数値下落 → 豪ドル下落 | |
雇用統計(失業率) | 数値上昇 → 豪ドル下落 数値下落 → 豪ドル上昇 | |
中国 | 国内総生産(GDP) 消費者物価指数(CPI) 鉱工業生産 | 数値上昇 → 豪ドル上昇 数値下落 → 豪ドル下落 |
経済指標は、結果と予想が大きく乖離した場合に値動きが激しくなる可能性がある点にも注意が必要です。
経済指標についての詳しい説明や、海外FX業者「XM Trading」の経済スケジュールカレンダーについてはこちらの記事をご覧ください。
「経済指標ってどんなものがあるの?」 「政府や主要機関の経済指標発表の前後で値動きが変わるからトレードの狙い時?」 などの疑問を解決したい方必見! この記事では、経済指標とは何か、実際どのように指標を用いてトレードするの …
FX取引における豪ドルの今後の見通し
今後、豪ドルはどのように推移していくのでしょうか?
豪ドルの見通しとしては、以下3つのシナリオが考えられます。
- オーストラリア準備銀行(RBA)の利上げによる上昇相場
- 中国経済や国交関係により価格が推移する
- エネルギー価格高騰で上昇が続く
オーストラリア準備銀行(RBA)の利上げによる上昇相場
オーストラリア準備銀行が利上げを行い、豪ドルが上昇する動きも考えられます。
豪ドルの価格推移のカギを握っている「オーストラリア準備銀行(RBA)」が行った2022年2月の会合では、量的緩和(QE)の終了を決定しています。
利上げに関しては、慎重な姿勢を示していますが、利上げを徐々に行って豪ドルの上昇材料となる可能性も十分考えられます。
量的緩和とは
英語ではQuantitative Easing(QE)と言い、市場に出回る資金量を増やすこと
資金量を増やすことで、物価上昇を促す目的がある
新型コロナウイルスの感染拡大によって、景気が悪化したり、物価が下がったりした「デフレ」状態から脱却するために、オーストラリアなどの各国が行った政策
実際にアメリカは緩和策を講じたことでインフレが進んだため、利上げを行うことが既に決定していますよ。
オーストラリアでも利上げが決定した場合は、豪ドルの急激な上昇に備えておいたほうがよさそうですね。
中国経済や国交関係により価格が推移する
オーストラリアにとって最大の輸出先である中国の経済状況や外交関係は非常に重要です。
中国の経済状況や外交関係が悪化してしまうと、オーストラリアの経済活動に打撃を与えてしまいます。
その場合、オーストラリア全体の景気悪化に伴う「豪ドル売り」が加速する可能性も捨てきれません。
またロシアのウクライナ侵攻への対応の方向性が違えば、外交関係が悪化する一因にもなります。
中国は友好国としてロシアを配慮する姿勢を見せていますが、オーストラリアはロシアへの金融制裁を行っています。(2022年5月時点)
中国も完全にロシアを擁護している訳ではないので、すぐに中国とオーストラリアの外交関係が悪化することは考えにくいもののその可能性はゼロではありません。
もし悪化した場合、中国はオーストラリアからの輸入を制限し、豪ドルが下落することも考えられるのでしょうか。
オーストラリアと中国との間に軋轢が発生することも視野に入れつつ、ウクライナ情勢を注視しておく必要があるでしょう。
ウクライナ情勢に関するロシアルーブルの動向についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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エネルギー価格高騰で上昇が続く
現在ウクライナ情勢などでロシア産原油の輸入禁止を掲げる国が増えており、原油の供給逼迫懸念で、豪ドルが上昇しています。
ロシアも世界有数の資源国であるため、ロシア産の原油やエネルギー資源が世界中に輸出できなくなると、必然的にエネルギー価格が高騰していき、豪ドルの上昇材料となるのです。
ただアメリカや日本では、石油備蓄を放出して市場に出回る原油の量を増やし、価格高騰を抑える動きが見られています。
しかし、このままウクライナ情勢が不安定なまま続いていくようであれば、オーストラリアなど他の資源国が輸出する原油価格が高騰し続け、豪ドルが上昇していく可能性もあります。
FXで豪ドルを取引するときの注意点
では最後に豪ドルを取引する上で、注意しておきたいポイントを4点紹介していきます。
- ハイレバレッジ取引とは相性が悪い
- スワップポイントは以前よりも減少している
- スプレッドがやや広め
- 経済指標発表前後や週明けなどは注意
ハイレバレッジ取引とは相性が悪い
豪ドルは値動きが大きくなりやすく、デイトレード向きであると前述しましたが、ハイレバレッジトレードとは相性が悪いことを念頭に置いておきましょう。
ハイレバレッジで取引すれば、資金を大きく増やしやすい反面、資金を大きく減らすリスクも高まります。
また価格変動の影響がより大きくなるため、ロスカットを早めてしまう可能性もあります。
ロスカットとは
一定以上の損失が発生した際に、自動的にポジションが決済されてしまうこと
強制的にロスカットされると、「もう少し待っていれば利益が出ていたのに」と悔しい思いをしてしまうケースも起こり得ます。
特にFX初心者は、レバレッジを低めに設定して取引していくことをおすすめします。
もちろん慣れてくれば、自分の資金に合わせて上手く管理しながら、レバレッジをかけて利益を積み重ねるトレードも可能です。
ロスカットについての詳しい説明や、海外FX業者「XM Trading」のロスカットレベルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
XM(XMtrading)には「ロスカット」という自動損切りシステムがあります。 このロスカットが発動する目安を、XMでは証拠金維持率の20%に設定しています。 今回の記事ではロスカットの発動条件や、証拠金維持率の計算方 …
スワップポイントは以前よりも減少している
以前の豪ドルは高金利通貨であり、スワップポイントを狙った取引が多く行われていました。
しかし金利低下により、受け取れるスワップポイントが少なくなっているという現状があります。
スワップポイント狙いであれば一定期間ポジションを持つ必要があります。
保有期間が長くなれば、当然急落のリスクに晒されている状態となりますので、保有中は政治や経済状況を確認して、急落リスクに備えなければなりません。
ロスカット前に自分で損切り設定を行える「ストップロス機能」なども活用しながら、リスクを管理していきましょう。
スプレッドがやや広め
豪ドルはデイトレードなどでよく取引されている通貨ですが、何度も取引する場合、スプレッドが広すぎるとその分取引コストがかさんでしまいます。
その結果、せっかく利益を出していたのにコスト分でマイナス収支になる場合もあり得るのです。
特に、短時間に何回も取引をするスキャルピングトレーダーは、なるべくスプレッドの狭い取引所を使うようにしましょう。
取引したい通貨ペアのスプレッドは、比較サイトなどを活用すると確認することができます。
「スプレッド FX リアルタイム」などで調べればすぐにヒットします。
スプレッドは、同じ通貨ペアでも取引所や時間帯によって異なるので、取引前に大まかな数値を確認しておくことをおすすめします。
海外FX業者のスプレッド比較については、こちらの記事をご覧ください。
「海外FX業者のスプレッドを比較したい」 「豪華なボーナスキャンペーンを利用してお得に取引したい」 「海外FX業者のおすすめはどこ?」 海外FX業者は数が多く、選ぶ基準も曖昧でどのFX業者が自分にとってベス …
経済指標発表前後や週明けなどは注意
豪ドルは、重要な経済指標の発表前後は、予測しづらい不規則な値動きを見せる場合があります。
FXでは、平日は24時間取引出来るようになっていますが、土日は取引できません。
つまり土日の間に何か重要なイベントや経済ニュースなどが発表されると、週明けの月曜日に価格が乱高下する可能性があります。
価格が乱高下しやすい週明けや重要イベントの発表前後にも注意をして、ポジション管理をしておきましょう。
初心者の方は以下のようなルールを自分なりに設定してみるのがおすすめです。
- 経済指標発表前後にはポジションを整理する
- 週明けなどはしばらく様子を見てから取引する
- 週を跨いだ取引は控える
- 長期休みや祝日がある場合、なるべく早めに手仕舞う
他にも、週明けでなくとも取引開始時間は以下のように動きが出やすくなります。
下の図は豪ドル円のチャートで、縦線を引いている箇所は火曜日の取引開始タイミングで線を引いています。
平日に大きな動きが出ることもあるのですね。
値動きが気になってしまう方は、その日の内に決済するようにしておいた方が無難と言えます。
まとめ
今回は豪ドルについて紹介してきました。
豪ドルは資源国通貨の特徴を色濃く表している通貨であり、取引の際には、原油価格や中国などアジア経済の動向を確認しておく必要があります。
取引量も資源国通貨の中では最も多いため、資源国通貨で取引をしてみたい方にとって、豪ドルはハードルが低く始めやすいのではないでしょうか?
ただし価格変動が大きくなりやすいため、少額で取引することをおすすめします。
資金管理が重要になってくるということですね!
不安な方は取引をせずに、実際のチャートを見てどのような値動きをしているか、経済指標を確認しながら観察してみるのもおすすめです。
筆者:海外FXラボ編集部
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