「ボリンジャーバンドの見方や使い方が知りたい」
「設定値や手法のおすすめは?」
「ボリンジャーバンドって逆張りに使う指標?」
世界中のトレーダーに人気のあるボリンジャーバンドは、相場の状況を判断したりエントリーポイントを見つけるのにとても便利なテクニカル指標です。
一見複雑そうに見えますが、活用方法はとてもシンプルなのでFX初心者の方にもおすすめの指標です。
今回は、ボリンジャーバンドを使ったチャートの分析方法や注意点、それに他のテクニカル指標を組み合わせたエントリー方法などを解説していきます。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家であるジョン・ボリンジャー氏が開発した、統計学の標準偏差と正規分布の考え方に基づいたテクニカル指標です。
高校や大学受験でよく見る偏差値に似た考え方で、簡単に言うと、ある期間のレートが期間の平均値からどのくらい散らばっているかを表したものです。
バンドの幅の変化やセンターライン(移動平均線)の傾き、それにレートとバンドの位置関係などから、簡単に相場のボラティリティ(価格変動率)の変化やトレンドを察知することができます。
「高い確率で平均値の方に戻ってくるだろう」というのが、ボリンジャーバンドの基本的な考え方となるため、多くのトレーダーが逆張りのツールとして利用しています。
ボリンジャーバンドを構成するラインは以下の2種類です。
- センターライン(移動平均線)
- 標準偏差 σ(シグマ)
それぞれ順番に詳しく見ていきましょう。
センターライン(移動平均線)
センターラインとは、ボリンジャーバンドの中心にある移動平均線のことです。
デフォルトの設定であれば、20期間移動平均線をセンターラインとしてボリンジャーバンドが作られます。
20期間とはチャート20本分を意味し、日足であれば20日分、時間足であれば20時間分ということになります。
センターラインはトレンド方向などの相場環境を把握する上で基準になるため、しっかりと確認して平均値とレートの乖離を把握するようにしましょう。
標準偏差 σ(シグマ)
標準偏差 σ (シグマ)は、中央のセンターラインから±1σ、±2σ、±3σの順に乖離するラインのことです。
トレードをする上では、±1σ、±2σのみを表示するトレーダーが多いです。
ボリンジャーバンドを構成するこの3本のラインは、以下の確率でレートがそれぞれのバンド内に収まることを意味します。
ボリンジャーバンドの標準偏差 | バンド内でレートが収まる確率 |
---|---|
±1σ | 68.2% |
±2σ | 95.4% |
±3σ | 99.7% |
特に±2σや±3σではバンド内にレートが収まる確率が非常に高くなるため、その特徴を逆張りに利用するトレーダーが少なくありません。
また、バンドの幅を確認することで、ある程度レートの値動きの限界値を判断することができます。
ボリンジャーバンドのおすすめ設定値
ボリンジャーバンドでは、基本的にセンターラインである移動平均線の期間とバンドの2つを設定します。
デフォルトで設定されている20期間(ローソク20本分)は、日足であれば1ヵ月の相場営業日としてキリがいいため、多くのトレーダーが使っている数値です。
また、サポートラインやレジスタンスラインとしても機能しやすいのでおすすめです。
バンド幅であるσは、±1σと±2σを設定するのが一般的です。
しかし、開発者のジョン・ボリンジャーは移動平均線と±2のみを基本としていたり、±3σも利用するトレーダーも多いため、使いやすい設定を模索してみるといいでしょう。
ボリンジャーバンドで注目すべき4つのポイント
ボリンジャーバンドにおいて、注目すべき重要なポイントは以下の4点があげられます。
この4つのパターンによる収束と拡散を繰り返すというのが、ボリンジャーバンドの基本です。
スクイーズ
スクイーズとは、バンドの幅が狭くなっている状態のことです。
つまり、センターラインからレートがあまり離れないレンジ相場であり、次のトレンド発生に向けて力を温存している期間と言えます。
長いレンジ相場が終わると強いトレンドが発生することが多いため、長く続いているスクイーズを見つけたらトレンド相場への準備をしておきましょう。
エクスパンション
エクスパンションとは、前述したスクイーズとは逆にバンドの幅が広がっていく状態のことです。
センターラインからバンドの幅が広がっていき、トレンド発生の起点になることが多くなります。
例えば、レートが上昇してバンドの幅が広がってきたら、順張りで上昇トレンドに乗るチャンスです。
ボージ
ボージとは、バンドの幅が最大から収束へ向かう状態です。
ボージが発生すると、それまでのトレンドが終わりを迎え、トレンドが反転する可能性があります。
そのため、ボージは順張りをしている時の決済や逆張りのエントリーに使うことが可能です。
バンドウォーク
バンドウォークとは、ローソク足がバンドにぴったりとくっついている状態のことです。
つまり、バンドウォークは強いトレンドを表しているのです。
バンドウォークの状況では、順張りしやすいのですがトレンドの勢いが弱まってセンターラインへ戻ってしまうことに注意しながらエントリーすることが必要です。
ボリンジャーバンドを上手に活用するには?
ボリンジャーバンドを上手に活用するには、以下2点のコツを覚えておくといいでしょう。
- 上位足のチャートも確認しておく
- 他のテクニカル指標も参考にする
上位足のチャートも確認しておく
例えば1時間足を使ってトレードするのであれば、その上位足である4時間足や日足などの状況も、ボリンジャーバンドで確認しておくことが大切です。
大きなトレンドにしたがってトレードを行うことにより、勝てる確率が上がるからです。
逆に、大きなトレンドに逆らってトレードを行うと、自分がトレードで使う時間足のトレンドが上位足のトレンドに飲み込まれてしまうことがあり、結果的に勝率が下がってしまいます。
他のテクニカル指標も参考にする
ボリンジャーバンドは有益なテクニカル指標ですが、他のテクニカル指標やチャートパターンと組み合わせることで、より根拠の強いエントリーポイントを見つけることができます。
例えば、後述する移動平均線やMACD、RSIなどのテクニカル指標や、ヘッドアンドショルダーやトライアングルなどのチャートパターンもチェックしておくとよいでしょう。
ボリンジャーバンドを使う時の注意点
いくら有用だと言っても、ボリンジャーバンドに欠点が1つもないと言うことはありません。
ボリンジャーバンドを使う際には、以下の3点に注意を払うようにしましょう。
- バンド内でレートが収まる確率はトレードの勝率ではない
- 相場の急変動には機能しない
- 短い期間のスクイーズから発生したエクスパンションは見送る
バンド内でレートが収まる確率はトレードの勝率ではない
バンド内でレートが収まる確率はトレードの勝率ではありません。
例えば、ボリンジャーバンドの標準偏差である±2σにレートが達したからといって、95.4%の確率でトレードにおいて勝てるわけではないのです。
なぜかと言うと、レートの動きに合わせてバンド幅は拡大と収束を繰り返すためです。
ボリンジャーバンドの標準偏差にレートが達しているかだけではなく、ローソク足のパターンや他のテクニカル指標の確認なども同時に行うようにしましょう。
相場の急変動時には機能しない
ボリンジャーバンドは、相場が急激に上昇、下落すると機能しなくなる場合があります。
例えば、アメリカの雇用統計などの重要な経済指標が発表され、結果が市場予想の値と大きく異なった場合などは、レートが一気に上昇や下落をしてバンド内を飛び出てしまうことがよくあります。
ボリンジャーバンドは、相場が安定している時にだけ機能するため、相場の急変動時には利用を避け、レートがバンド内に収束するのを待ちましょう。
短い期間のスクイーズから発生したエクスパンションは見送る
短い期間のスクイーズはレートを動かすエネルギーが貯まっておらず、中途半端なエクスパンションになりがちだからです。
トレンドが発生したと見せかけて、結果的にダマシだったということはよくあります。
そのため、短い期間のスクイーズから発生したエクスパンションに順張りすることは、よほどの理由がない限り見送るほうがいいでしょう。
ボリンジャーバンドを使ったトレード手法
ボリンジャーバンドは、順張りでも逆張りでも使うことができるテクニカル指標です。
つまり、トレンド相場とレンジ相場のどちらでも使うことができます。
ここからは、ボリンジャーバンドを使った順張り手法と逆張り手法について解説していきます。
- エクスパンションでの順張り手法
- スクイーズでの逆張り手法
- 【FX初心者でも簡単にできる】±1σでの順張り手法
エントリーする前に、バンド幅の拡大や収束を見て相場の環境認識を行いましょう。
エクスパンションでの順張り手法
ボリンジャーバンドの順張り手法は、エクスパンションからバンドウォークになっている状況で行います。
要するに、トレンド方向へついていくトレンドフォローを行うということです。
また、スクイーズからレンジをブレイクし、エクスパンションが起こったタイミングでエントリーをすることで大きな利益を狙うこともできます。
スクイーズからエクスパンションが起こったタイミングでトレンドの初動を捉える順張り手法は、ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏も推奨するトレード手法です。
スクイーズからエクスパンションへの移行は、スクイーズの期間が十分な長さであり力を貯めている状態であるか、またボリンジャーバンドのバンド幅をしっかりと観察することにより察知することができます。
決済は値動きの勢いが落ち着きバンドウォークをしなくなった時やセンターラインにレートがタッチした時などが基本になります。
ボリンジャーバンドの順張り手法は、バンドウォークをしている限りポジションを保有し続けることで大きな利益を狙いやすい手法になります。
トレンドの初動を捉える順張り手法では「ヘッドフェイク」に注意
ボリンジャーバンドを使ってトレンドの初動を捉える順張り手法では、「ヘッドフェイク」に注意が必要です。
ヘッドフェイクとはいわゆるダマシで、まずローソク足がバンドの外側に突き抜けてエクスパンションになった後すぐに逆行してしまい、最終的には逆側のバンドにタッチする動きのことです。
例えば、レートが上昇して上側の2σのバンドを突き抜けエクスパンションが発生したものの、値動きが逆行して下側の2σのバンドにタッチしてしまうといった形です。
そのため、スクイーズからレンジをブレイクし、エクスパンションが起こったタイミングでのエントリーでは、ヘッドフェイクが起こった際に迷わず損切りを行うことが大切になります。
スクイーズでの逆張り手法
ボリンジャーバンドの逆張り手法は、スクイーズが発生し高値と安値がはっきりしている状況で行います。
レンジ相場の時にバンドの±2σを目安として逆張りを行います。
基本的には±2σのバンドをサポートラインやレジスタンスラインとして、±2σ付近にレートが達したら逆張りをします。
+2σに達したら買われ過ぎと考えて売りを行い、-2σに達したら売られ過ぎと考えて買いを行うのです。
また、サポートラインやレジスタンスラインが破られた場合や、エクスパンションが発生したら損切りや順張り手法へ切り替えるといいでしょう。
【FX初心者でも簡単にできる】±1σでの順張り手法
ボリンジャーバンドの±1σでの順張り手法は非常に分かりやすいため、特にFX初心者の方におすすめの手法です。
±1σでの順張り手法はレートが±1σに達したら、達したバンド方向へのトレンドが発生したと考え、その方向に順張りでエントリーを行う方法です。
決済の目安は、バンド内でレートが収まる確率が95.4%である±2σです。
理由は単純で、±2σを超えることは確率的に低いと考えられるからになります。
また、センターラインである移動平均線にレートが達したら、トレンドが無くなったか変わったと考えられるので、損切りを行います。
この手法は、±1σでエントリーし、±2σで利確、もしくはセンターラインで損切りという非常にシンプルな手法なのでまずはこの手法から始めてみてはいかがでしょうか。
ボリンジャーバンドと相性のいい2つのテクニカル指標
ボリンジャーバンドは単体でも有効なテクニカル指標ですが、以下のテクニカル指標と組み合わせることによって、相場環境の判断がより明確になります。
- MACD(マックディー)
- 移動平均線
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせる
MACDは、世界中の多くのトレーダーに使われているテクニカル分析です。
まずは、MACDの基礎知識を確認しておきましょう。
MACD(Moving Average Convergence Divergence)とは
MACD(マックディー)は、アメリカの投資家であるジェラルド・アペル氏が開発したテクニカル指標
日本語では「移動平均収束拡散手法」と呼ばれている
短期の移動平均線と中長期の移動平均線を使用することで、買いと売りのタイミングを判断する
MACDで使われる移動平均線は、通常の単純移動平均線(SMA)とは異なるものです。
新しい価格のほうがより相場への影響力が高いという考えから、新しい価格の比重を高めて計算される移動平均線である指数平滑移動平均線(EMA)を使用しています。
MACDは基本となるMACD線と、MACD線の移動平均線であるシグナルと呼ばれる線の計2本の線とヒストグラム(MACD線とシグナルの差を棒グラフで表示したもの)を使って相場環境やトレードの判断をおこないます。
MACDの活用方法や設定の仕方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
MACD(マックデイー)って使えないって本当? MACDの有効な設定値や上手な使い方ってあるのかな? どのインジケーターと組み合わせるのがいいんだろう? MACDは新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識 …
ボリンジャーバンドとMACDの組み合わせ方
ボリンジャーバンドは、MACDを組み合わせることによって、逆張り手法での反発のタイミングをより正確に判断できるようになります。
具体的には、ボリンジャーバンドの±2σまでレートが下落(または上昇)した後に、MACD線とシグナルのゴールデンクロス(またはデットクロス)が発生しエントリーします。
買いの場合には+2σにレートが達したら、売りの場合には-2σにレートが達したら決済を行いましょう。
MACDがデッドクロスした時、MACDがゴールデンクロスした時も決済の目安となります。
この手法は、±2σでレートが止まらずに上昇または下落し続けてしまうダマシをある程度防ぐことができる有効な手法になります。
ボリンジャーバンドと移動平均線を組み合わせる
世界で一番多くのトレーダーに使われているテクニカル指標である移動平均線も、ボリンジャーバンドと相性の良いテクニカル指標です。
短期の移動平均線を組み合わせる場合と、中・長期の移動平均線を組み合わせる場合をそれぞれ解説していきます。
移動平均線についての詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
移動平均線(Moving Average)は初心者から上級者まで、多くの方が利用する人気のインジケーターです。 他のテクニカル分析と比べると簡単なので、初心者の方が初めに覚えるテクニカル分析としておすすめです。 &nbs …
ボリンジャーバンドと短期移動平均線の組み合わせ方
この手法では、ボリンジャーバンドの期間をデフォルトである20、バンドは±1σを使い、短期移動平均線の期間は5に設定するといいでしょう。
この状態で、ボリンジャーバンドのセンターラインが上向きで、短期移動平均線がボリンジャーバンドの+1σを上抜けしたときに買いでエントリーを行います。
逆に、ボリンジャーバンドのセンターラインが下向きで、短期移動平均線がボリンジャーバンドの-1σを下抜けしたときに売りでエントリーを行います。
決済は短期移動平均線がセンターラインとクロスした際や、短期移動平均線の傾きが保有ポジションと逆方向に変わった時に行いましょう。
ボリンジャーバンドと中期移動平均線、長期移動平均線の組み合わせ方
ボリンジャーバンドには、中期・長期移動平均線を組み合わせるのもおすすめです。
なぜかと言うと、ボリンジャーバンドのセンターラインと中期・長期移動平均線を表示させることで、トレンドを長い視点で確認することができるからです。
例えば、ボリンジャーバンドのデフォルト設定である20期間移動平均線に加えて、50期間の中期移動平均線(黄色)と200期間の長期移動平均線(紫色)を表示し、パーフェクトオーダーになっているかを確認します。
パーフェクトオーダーとは
上昇トレンドであれば、上から短期移動平均線→中期移動平均線→長期移動平均線の順にローソクが並んだ状態
下降トレンドであれば、上から長期移動平均線→中期移動平均線→短期移動平均線の順にローソクが並んだ状態
上昇トレンドのパーフェクトオーダーが発生した場合は買いでエントリーをし、パーフェクトオーダーの順番が崩れたら決済を行います。
逆に、下降トレンドのパーフェクトオーダーが発生した場合には売りでエントリーをし、パーフェクトオーダーの順番が崩れたら決済という形が基本です。
ボリンジャーバンドを確認し、値動きの勢いが落ち着きバンドウォークをしなくなった時やセンターラインにレートがタッチした時に決済をするのもいいでしょう。
パーフェクトオーダーは相場のトレンドが非常に強い時に発生するため、トレンドに逆らわずにトレードを行うようにしてください。
まとめ
ボリンジャーバンドは、多くのトレーダーが利用するテクニカル指標で、一目見るだけで相場のボラティリティ(価格変動率)やトレンドを把握することができます。
急な相場変動が起こった時などは機能しないというデメリットもありますが、MACDや移動平均線など、他の指標と組み合わせて使うことで、より明確なエントリーポイントを見つけることができます。
活用方法はとてもシンプルなので、初心者の方にもおすすめです。
筆者:海外FXラボ編集部
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