「RSIって一体どんなインジケーター?」
「設定方法は?使い方は?」
「RSIのダイバージェンスって何?」
RSIは、チャートから一定期間の変動幅を割り出し、相場の状況判断を手助けするテクニカル指標です。
RSI単体では不十分ではあるものの、他のインジケーターと組み合わせて上手に活用することで、トレード判断の確度を飛躍的に向上させることができます。
今回は、そんなRSIについての基礎知識から具体的な使い方までを徹底解説していきます。
RSIとは?
RSI(Relative Strength Index)とは
FXや株式投資などでつかわれるテクニカルチャートの一種
主に買われすぎか、売られすぎかを判断するための指標で、日本語訳は「相対力指数」となる
RSIでは一定期間の上げ幅と下げ幅をもとに0〜100%の中で一本の線が推移します。
100%に近いほど買われすぎな傾向があり、逆に0%に近いほど売られすぎな傾向にあるということがRSIによって判断できます。
RSIで用いられている計算式
RSIはどんな計算方法で数値を割り出しているの?
RSIの計算式について一緒に実際に見ていきましょう。
RSIで使われている計算式
RSI(%)= A ÷ (A+B)× 100
A:一定期間の上昇幅の合計
B:一定期間の下落幅の合計
上昇幅と下落幅は終値ベースで計算され、その「一定期間」はデフォルト設定となっている「直近の14期間」を使うのが一般的です。
期間が14というのは14本のローソク足を計算範囲として利用するということです。
計算式だけを見てもわかりにくいので、実際に例をあげて計算してみましょう。
期間は分かりやすく5日間とし、終値が以下のように推移したとします。
日 | 終値 | 前日比 | 上昇or下落 |
---|---|---|---|
先週の金曜日 | 98円 | ー | ー |
月曜日 | 100円 | +2円 | 上昇 |
火曜日 | 103円 | +3円 | 上昇 |
水曜日 | 102円 | -1円 | 下落 |
木曜日 | 101円 | -1円 | 下落 |
金曜日 | 104円 | +3円 | 上昇 |
この場合、上昇している3日分の上げ幅の合計は8円(2円+3円+3円)となり、下落している2日分の下落幅の合計は2円(1円+1円)となります。
この数値を先ほどの計算式にあてはめてみると、RSIの数値は80%となり、100%にかなり近い数値であるため買われすぎ傾向にあることがわかります。
RSI(%)= 8 ÷ (8 + 2)× 100 = 80%
RSIで相場分析する上で見るべき3つのポイント
RSIで相場を分析するときには、以下の3つのポイントをよくチェックしておきましょう。
- 30%ラインと70%ライン
- ダイバージェンス
- ラインやフォーメーション
30%ラインと70%ライン
RSIの中で最も注目されているのは、30%と70%のラインです。
70%ラインをRSIが上回れば買われすぎ、逆に30%下回れば売られすぎと判断できます。
もう少し判断を厳しくして、20%と80%を基準に考えているトレーダーもいます。
いずれにせよ、自分のトレードルールとして判断基準となるラインをあらかじめ定めておくことが重要です。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは
「逆行現象」を表す
実際の価格を表したチャートとRSIの動きが逆の動きをとっている状態
例えば、以下のような場面です。
このような状況は、価格は上昇しているが、買われすぎの傾向が徐々に弱まってきているという状態であり、トレンド転換する予兆として捉えることができます。
RSIでは30%ラインと70%ライン以外にもダイバージェンスに注目しておくことで、より多くのトレードチャンスを発見することができるでしょう。
ラインやフォーメーション
少し応用的な使い方になりますが、RSIの動きに合わせてトレンドラインを引いたり、フォーメーション分析を行うことでトレードチャンスを発見するという手法もあります。
例えば、下画像のようにRSI上でトレンドラインを引いて、そのラインをブレイクしたタイミングを見計らってエントリーを仕掛けていくということもできます。
トレンドライン以外にも、フォーメーション分析としてよく使われるダブルボトムやダブルトップ、トライアングルやヘッドアンドショルダーなどでも同様に利用することができます。
「30%ラインと70%ライン」や「ダイバージェンス」以外にもラインやフォーメーション分析に注目してRSIを活用できるようになると、さらに精度の高いチャート分析が可能になるでしょう。
MT4でのRSI設定方法
ここからは、RSIの設定方法について解説していきます。
RSIをMT4へ表示させる
今回は、多くのトレーダーが利用しているMeta Trader4(MT4)におけるRSIの設定方法をご紹介します。
手順は以下の2つのステップで完了するのでとても簡単です。
STEP 1:RSIインジケーターをチャート画面に挿入する
STEP 2:パラメーターを設定する
STEP 1:RSIインジケーターをチャート画面に挿入する
まずはMT4のチャート画面を開き、上部の「挿入」タブをクリックします。
「インディケータ」、「オシレーター」、「Relative Strength Index」の順にクリックします。
STEP 2:パラメーターを設定する
以下の設定画面にてパラメーターを設定します。
デフォルトの設定では以下の数値に設定されていますが、ここで期間や色などを変更することができます。
問題がなければそのまま「OK」をクリックしてください。
すると、チャート画面の下にRSIが反映されます。
RSIの推奨設定期間
デフォルトで設定されている「期間14」は、RSIの考案者であるJ.ウェルズ・ワイルダー・ジュニア氏が推奨しているものなので、まずはこの設定期間で取引を行ってみるのがいいでしょう。
ただし、「期間14」が必ずしも万能な設定というわけではありません。
時間足や取引手法によってはダマシがたくさん発生してしまうことも考えられます。
より適した設定は、いろいろな設定を試しながら探っていくのがいいでしょう。
RSIを上手に活用するには?
RSIの特徴が分かってきたところで、ここからは、RSIをより上手に活用するためのポイントについて解説していきます。
覚えておいて欲しいのは以下の2つのポイントです。
- 買われすぎ・売られすぎを狙って逆張りをする
- トレンド転換サインであるダイバージェンスを狙う
買われすぎ・売られすぎを狙って逆張りをする
RSIを上手に活用するポイントとしてまずあげられるのが、買われすぎ、売られすぎを狙った逆張りです。
例えば、30%ラインを下回った時には売られすぎている状態ですので、トレンド転換し、価格が上昇していくことが期待できます。
しばらく下降トレンドが続いたあと、RSIが30%を下回ったところを境に上昇トレンドへ転換しています。
こういったところで逆張りを狙うというのが、RSIでよく使われているやり方です。
70%の場合も30%ラインと同様に利用できます。
70%ラインを上回った時には買われすぎている状態ですので、トレンド転換し、価格が下降していくことが期待できます。
しばらく上昇トレンドが続いたあと、RSIが70%を上回ったところの少し後で下降トレンドへ転換しています。
今回はチャート画面でヘッドアンドショルダーが形成されているので、エントリーする根拠がさらに強くなります。
ただし、RSIが30%を下回ったところ、もしくは70%を上回ったところで必ずトレンド転換が起こるとは限りません。
しかし、先ほどのヘッドアンドショルダーのように他のエントリー根拠と併用できれば、かなり確度の高い取引ができるでしょう。
トレンド転換サインであるダイバージェンスを狙う
RSIを上手に活用するポイントとして次にあげられるのが、トレンド転換サインであるダイバージェンスを狙うということです。
トレンドが継続している中でダイバージェンスが発生した場合、トレンドの勢いが弱まっているということが読み取れます。
そのため、ダイバージェンスが起こるというのは、トレンド終了やトレンド転換のサインになることが多いのです。
価格チャートが下降しているにもかかわらず、RSIは上昇しているのでダイバージェンスが起こっていると言えます。
ここで起こったダイバージェンスを境に、継続していた下降トレンドが終了しています。
このようにダイバーシェンスを発見することでトレンド転換の兆候を前もって知ることができるのです。
RSIだけで詳細なエントリーポイントを導きだすことは難しいものの、トレンド終了のサインとして利用するには十分に効力を発揮してくれます。
RSIを使う際の注意点
ここまで見てきた中で、RSIがいかに有用なテクニカル指標であるかが分かってきました。
しかし、いくら有用だと言っても、RSIに欠点が1つもないと言うことではありません。
RSIを使う時には、以下3つのポイントに特に注意を払うよう心がけましょう。
- RSI単体ではエントリー根拠としては弱い
- ダマシが発生することもある
- 強いトレンド相場では優位性が低い
RSI単体ではエントリー根拠としては弱い
RSIは、買われすぎ、売られすぎを視覚的に捉えやすくしたものです。
「買われすぎているから、この後売り優勢に転じるのではないか」といったように、トレンド転換の予兆を察知することにRSIは長けています。
しかし、ピンポイントでエントリーポイントを見つけるという点では些か心許ないものと言わざるを得ません。
先ほどの章でも少し触れましたが、他のエントリー根拠と併用できればかなり確度の高い取引ができる反面、RSI単体ではエントリーポイントを見つけるということは難しいでしょう。
ダマシが発生することもある
2つ目のRSIを使う時の注意点は、ダマシが発生することもあるということです。
RSIが70%を上回っていたとしても必ずトレンド転換が起こるというわけではありません。
30%ラインも同様で、RSIだけを頼りにしているとダマシが発生した時に大損してしまうことも考えられます。
特に強いトレンド相場ではダマシが発生する確率が高くなります。
ダマシが発生することも必ず考慮した上で、リスク管理をするようにしましょう。
強いトレンド相場では優位性が低い
上画像のように強い上昇トレンドが発生している時には、RSIの数値が70%を超えることが何度もあります。
RSIを強いトレンド相場の時に使うのはあまりおすすめできません。
RSIと他のインジケーターのおすすめ組み合わせ
先ほど、RSI単体ではエントリー根拠としては弱いという話をしましたが、具体的にどんなインジケーターと組み合わせるのがよいのでしょうか?
RSIと相性のよいインジケーターのおすすめは次の3つになります。
- RSIとMACDを組み合わせる
- RSIとストキャスティクスを組み合わせる
- RSIとボリンジャーバンドを組み合わせる
RSIとMACDを組み合わせる
MACDは、新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識するのに非常に便利なインジケーターです。
MACDとは
「Moving Average Convergence Divergence」の略で「マックディー」と呼ばれている
移動平均線を応用したもので、2つの移動平均線を用いることで売買のタイミングを測ることができる
MACDとは、新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識するのに非常に便利なインジケーターです。
MACDの特徴や活用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
MACD(マックデイー)って使えないって本当? MACDの有効な設定値や上手な使い方ってあるのかな? どのインジケーターと組み合わせるのがいいんだろう? MACDは新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識 …
RSIとMACDを使ったトレード手法
RSIとMACDを使ったトレード手法は、MACDの弱点であったレンジ相場でのトレード判断をRSIによって補うといった方法です。
まずは、RSIをもとにレンジ相場を判断します。
相場の判断基準
・RSIが天井圏(70のライン)・底値圏(30のライン)に張り付いていない:レンジ相場
→RSIを基準にしてトレード判断を下す
・RSIが天井圏・底値圏で張り付いている:売買が過熱している状態(トレンド相場)
→MACDを基準に売買をする
このように、MACDとRSIを組み合わせることでどんな相場にも対応することが可能となります。
MACDとRSIを使った最も王道なエントリーポイントの見つけ方は以下のような条件での逆張りです。
MACDとRSIを使ったエントリーポイントの見つけ方
①RSIが70を上回るもしくは30を下回る
②MACDのヒストグラムがピークを過ぎる
③MACD線とシグナルがデッドクロスもしくはゴールデンクロス
3つの条件が揃えば高い確率でトレードが成功しますが、エントリーチャンスはかなり少ないです。
また、利益幅が少なくなるケースもあるので、RSIでの条件がクリアされており、MACDのヒストグラムがピークを過ぎ始めたあたりで、何回かに分けてエントリーするというのも1つの戦略です。
エントリーを分けて細かく利益を狙うのか、確実性の高いポイントで大きく利益を狙うのかは人によって好みが分かれるところなので、実際にトレードして試行錯誤してみましょう。
RSIとストキャスティクスを組み合わせる
ストキャスティクスは買われすぎ、売られすぎを判断するテクニカル指標です。
RSIと同じような役割に見えますが、数値の算出方法が異なります。
まずはストキャスティクスの特徴について見ておきましょう。
ストキャスティクスとは
買われすぎ・売られすぎを視覚的に認識できるようにサポートしてくれるインジケーター
過去一定期間の最高値と最安値から終値の水準を分析する役割で、日本語訳は「推計統計学」となる
簡潔に言うと主に相場の過熱感を分析し、相場に勢いがなくなり反転するタイミングを狙う場面で利用します。
ストキャスティクスでは「%K」「%D」という2本の線が0~100の間で表示されます。
2本のラインが80%以上で買われすぎ、20%以下で売られすぎと判断します。
ストキャスティクスの特徴である2本の線を利用し、ゴールデンクロス・デッドクロスのトレンド転換を探すことも可能です。
RSIとストキャスティクスを使ったトレード手法
RSIとストキャスティクスを使ったトレード手法はそれほど難しくありません。
以下の2つのシグナルが出た時にエントリーします。
RSIとストキャスティクスを使ったエントリーポイントの見つけ方
RSIが30以下かつストキャスティクスのゴールデンクロス発生:買い注文
RSIが70以上でストキャスティクスのデッドクロス発生:売り注文
RSIが30%を下回ったときに、ストキャスティクスでゴールデンクロスが発生していることがわかります。
先ほど、RSIでダマシが発生することもあるという注意点について説明しましたが、ストキャスティクスを併用することでダマシに会う確率を減らすことができます。
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせる
ボリンジャーバンドはバンドの方向性やバンド幅から、トレンド有無の判断をするテクニカル指標です。
ボリンジャーバンドについても、まずは特徴を確認しておきましょう。
ボリンジャーバンドとは
考案者であるジョン・ボリンジャー氏の名前をとって名付けられたテクニカル指標
帯状のバンドをチャート上に表示させることで相場判断の手助けをしてくれる
バンドの幅の変化や中心線である移動平均線の傾き、ローソク足との位置関係によりチャートを視覚的にわかりやすく分析できるようになるのがボリンジャーバンドの特徴です。
ボリンジャーバンド単体でも十分に活用できますが、他のインジケーターと併用してチャート分析をすることでより効力を発揮します。
ボリンジャーバンドは、RSI以外にも一目均衡表やMACDなどさまざまなインジケーターと組み合わせることができるのも魅力です。
RSIとボリンジャーバンドを使ったトレード手法
RSIとボリンジャーバンドを使ったトレード手法もそれほど難しくはありません。
以下の2つのシグナルが出た時にエントリーします。
RSIとボリンジャーバンドを使ったエントリーポイントの見つけ方
RSIが30%以下でボリンジャーバンド-2σに到達:買い注文
RSIが70%以上でボリンジャーバンド+2σに到達:売り注文
上の画像は、RSIが70%以上になったタイミングで、ボリンジャーバンドも+2σに到達しているので絶好のエントリーポイントと言えます。
チャートは、その後下降トレンドに転換していることがわかります。
このようにRSIは他のインジケーターと組み合わせることで、難しい分析をしなくても比較的簡単にエントリーポイントを見つけることが可能です。
まとめ
今回はRSIについての基礎知識や使い方などについて徹底解説していきました。
RSIはレンジ相場で逆張りを狙いたい時や、トレンド転換地点を察知する時に効果的に利用することができます。
しかし、強いトレンド相場中にはあまり役に立たないという弱点も同時に持ち合わせています。
そのため、レンジ相場のなかで小さなトレンド相場が転換する場面が最も効果的に使えそうです。
また、今回ご紹介したMACDやストキャスティクス、ボリンジャーバンドのような他のインジケータと組み合わせることで、より強いエントリー根拠を導き出せるでしょう。
ぜひRSIの利用を検討してみてください!
筆者:海外FXラボ編集部
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