FXの資金管理ってどうやったらいいのかな?
資金管理の具体的な方法が知りたい!
資金管理がラクになる便利なツールはある?
いざ資金管理を行おうと思っても、まず何から始めたらいいのか分からない…そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、資金管理の方法を初心者の方にも分かりやすく、いくつかの事例をもとに解説していきます。
最適なポジションサイズの算出方法や、便利なアプリも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
FX初心者にとって資金管理は重要?
「FXで儲けたい!」誰しもがそんな思いを胸にFXのトレードを始めることでしょう。
目標を持つことや、目標を達成するために努力することはとても大切なことです。
しかし、 やみくもにトレードを行ったり、たった1回の取引で資金の大半を失うような危険な取引を行うのは、ギャンブルと同じです。
FXで目標を達成するには、損失を抑えた取引を行い、利益を長く確実に積み重ねていくことがポイントです。
イングランド銀行を潰した男の異名を持つ著名な投資家、ジョージソロス氏の名言にも「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」とある通り、まずは「生き残る」ことが大切なのです。
そのために資金管理は欠かせません。
稼ぐノウハウだけでなく損失を考慮した資金管理を徹底することができれば、健全なメンタルを保ちながら、手堅く利益を積み上げることができます。
資金管理の流れ
資金管理とは、その名の通り資金を管理することです。
資金を管理するということは、投資に回せる資金額をしっかりと把握し、それを意識した取引を行うことです。
具体的には、以下のような流れに沿って進めていきます。
①は、投資を行う前と口座資金に変動があった時に行うようにします。
②と③は、毎回のトレードごとに行い、④は定期的に自身のトレードを見直す際に行います。
それでは、一つひとつ順を追って説明をしていきます。
① 投資資金の額を決める
これから投資を始めるにあたり、まず初めに行うことは投資金額の設定です。
どれくらい増やしたいという目標額を設定することも大切ですが、それ以上に投資による損失をどこまで受け入れられるかを、必ず前もって決めておく必要があります。
適切な投資資金額は、年齢や収入、それに家族構成や貯金額によっても異なります。
そのため正解というものはありませんが、参考までに日本銀行調査統計局の資料をご紹介します。
このグラフによると、日本では金融資産に占める投資の割合は約16%ほどと、アメリカにくらべかなり消極的なことが分かります。
しかし、まずは資産のバランスを大きく崩さぬよう、少額から始めていくのがいいでしょう。
また、投資資金の額は、「生活防衛資金」を確保したうえで考慮することも大切です。
突然のケガや病気、災害など万が一に備えて貯めておくべき資金のこと
一般的に生活費の3~6個月分と言われている
ここで設定した投資資金額はやみくもには変更せず、あくまでもこの金額内で利益をコツコツと積み上げていくようにしましょう。
単利運用と複利運用とは?
また、単利で運用するか複利で運用するかについても、あらかじめ決めておくことをおすすめします。
- 単利運用:元本のみでトレードを行う
- 複利運用:元本に利益を含めてトレードを行う
単利と複利では、運用期間が長ければ長いほどその利益に差が生じます。
そのため、複利運用をすすめるトレーダーが多くいますが、これもそれぞれのメリット・デメリットを考慮のうえ、自身の投資計画に合った運用方法を選択するようにしましょう。
単利運用 | 複利運用 | |
---|---|---|
メリット | ・一定額を利益として得ることができる ・利益をすぐに出金することができる | ・単利よりも早く資金を増やすことができる ・運用期間が長いとより効果的 |
デメリット | ・複利よりも資金効率が悪い | ・一度獲得した利益を失う可能性もある ・利益をすぐに出金することができない。 |
② 1回のトレードにおける適切な利益・損失額を設定する
具体的な投資金額が決定したら、今度は1回のトレードごとに行う資金管理の方法を見ていきましょう。
ここで最も大切なことは、リターンよりも損失を前提に考えることです。
まずは、1回の取引における許容損失額を考えていきましょう。
適切な許容損失額とは?
1回のトレードにおける損失額は、どれくらいまで許容するべきなのでしょうか?
有名投資本「投資苑2」によると、優れたトレーダーは損失を少なくとも2%以下に抑えていると言われています。
先ほど投資資金額のお話をしましたが、仮に投資資金額を100万円とするのならば、2%は20,000円になります。
20,000円のリスクをとると残りは98万円となるので、次回のトレードでの許容損失額は19,600円になります。
▼投資金額を100万円とする場合
トレード回数 | 損失許容額 | 残高 |
---|---|---|
1回目 | 20,000円 | 980,000円 |
2回目 | 19,600円 | 960,400円 |
3回目 | 19,208円 | 941,192円 |
4回目 | 18,824円 | 922,368円 |
5回目 | 18,447円 | 903,921円 |
このように、損失額を2%に限定しておくと、5回のトレードを終えた時点でも資金の90%以上を残しておくことができます。
損失額の調整方法
損失額は、ポジションのサイズと損切り幅によって算出されます。
例:ドル円のレートが140円の時に0.1ロット(1万通貨)を購入しその後139円に下降した場合
損失額は、以下の計算式で求めることができ、損失額は1万円になります。
例:1万通貨 × -1円 = -1万円
以下の表は、損益幅をFX共通単位である「pips」に変換し、ロット数との関係性を表したものです。
この表からも分かるとおり、損失額はロット数または損切り幅を調整することで、コントロールすることができるのです。
損切り幅 | 0.01ロット (1000通貨) | 0.1ロット (1万通貨) | 1ロット (10万通貨) | 10ロット (100万通貨) |
---|---|---|---|---|
1pips (0.01円) | -10円 | -100円 | -1,000円 | -10,000円 |
10pips (0.1円) | -100円 | -1,000円 | -10,000円 | -100,000円 |
100pips (1円) | -1,000円 | -10,000円 | -100,000円 | -1,000,000円 |
※クロス円の場合:1pips = 0.01円
それでは実際に、ロット数か損切り幅をコントロールし損失額を半分にしてみましょう。
例:ドル円の買いポジションを1ロット(10万通貨)保有し、エントリーポイントから50pips(0.5円)離れたポイントに損切りを入れる場合
先ほどの式を使うと、10万通貨 × 0.5円 = 5万円となり5万円のリスクをとることになります。
この場合、ロット数を半分にするか、損切りポイントの距離を半分にすることで、リスクを半分の25,000円に抑えることができます。
今度は、実際のチャートをもとに損失額の調整を行ってみましょう。
例:ドル円のチャートでレンジ相場からトレンド相場に転換し、一回目の押し目(130円)で1ロットの買いポジションを持った場合
レジスタンス・サポートラインとなっている129.4円を損切りポイントとすると、その距離は60pipsとなるため60,000円(10万 × 0.6 = 60,000円)の損失が発生することになります。
この損失額は、ロット数または損切りラインを調整することで、コントロールすることができます。
損失額を半分の30,000円にするには
- ロット数を半分の0.5ロットにする
- 損切りまでの距離を半分の30pips(129.7円)にする
ロット数と損切り幅、どっちをコントロールする方が簡単?
それでは、損失額を少なくしたい状況になった場合、ロット数か損切り幅のどちらをコントロールする方が簡単なのでしょうか?
その答えは、それぞれのトレードスタイルや相場の状況により異なるため、一概には言えません。
例えば、スキャルピングトレードとスイングトレードとでは、損切り目安を数pips変更することの容易度は異なります。
トレードスタイル | 1回のトレード期間 | 損切り目安 |
---|---|---|
スキャルピング | 数秒~数十分 | 5pips |
デイトレード | 数十分~数時間 | 50pips |
スイングトレード | 数日~数週間 | 150pips |
ただ、多くのトレーダーは、利確・損切りまでの展開を想定してからエントリーを行います。
そのため、損切りポイントの設定には明確な根拠があることを考えると、ロット数を調節する方が簡単と言えます。
基本的には、エントリー前に自分の想定した展開の不成立が確定となるポイントを損切りポイントとし、それからロット数を調節する方法がベストです。
適切なロット数の算出方法
適切なロット数は、許容損失額と損切りポイントが決定していれば、自動的に算出することができます。
では許容損失額を2万円とする状況で、先ほどのエントリー場面での適切なロット数を求めて見ましょう。
クロス円の場合、1pipsは0.01円となるため60pipsは0.6円になります。
そして許容損失額を0.6で割ると、保有可能な金額を計算することができます。
- 20,000(円)÷ 0.6(円)= 33,333(ドル)
- 33,333(ドル)÷ 1ロット(10万通貨) ≒ 0.33(ロット)
海外FX業者の基本ロットは1ロット10万通貨となるため、この場合は0.33ロット(33,000通貨)まで保有することができる計算になります。(0.01ロットを最小とした場合)
このように、毎回のトレードで許容損失額に基づき、ポジションのサイズを算出しておけば、一度の取引で莫大な損失を被るようなことはありません。
保有可能額 (ドル)= 許容損失額(円) ÷ 損切り幅(円)
適切なロット数 = 保有可能額 ÷ 10万(1ロット)
【覚えておくと便利】適切なポジションサイズの公式
上述した例は、クロス円のため計算はシンプルですが、ユーロドルのように円のからまない通貨ペアとなると、計算は少し複雑になります。
ユーロドルのように円表示ではない通貨ペアの場合は?
ユーロドルの場合 1pips=0.0001ドルなので、60pipsは0.006ドル
リスク許容額:20,000円
損切り幅:60pips
- ドル円が140円の場合
0.006ドル × 140円 = 0.84円
20,000円 ÷ 0.84円 = 約23,810,ユーロ
23,810ユーロ(約0.23ロット)
トレードのたびにこのような計算をするのは少々手間がかかります。
そこでおすすめなのが、適切なロット数を算出してくれるお役立ちアプリです。
ここでは、シンプルで使い勝手がよい3つのアプリをご紹介していきます。
FXの資金管理に役立つアプリ3選
FX_最適ロット計算機~
このアプリは「許容損失額」、「通貨ペア」、「エントリー価格」、「損切り価格」を入力するだけで最適なロット数を算出してくれる便利なアプリです。
FX Lot Size Calculator
こちらのアプリは、通貨ベースを選択し、ストップ幅(pips)とリスク(%)、証拠金(円)より最適ロットを算出するアプリです。
現時点でiOS版のみ対応しています。
【iOS版】
Forex計算機
こちらは、適切なロットサイズはもちろんフィボナッチレベルやピボットポイントによる利確、損切りレベルも調べることができる、便利なアプリです。
ロットサイズは「ポジションサイズ」より、リスク・レシオ(損失率)やストップレベルなどを設定することにより算出することができます。
【Android版 / iOS版】
目標利益の設定方法
適切な損切りポイントとロット数が決定したら、今度は適切な利確ポイントを設定していきましょう。
一般的に、1回のトレードにおける理想的なリスクリワードレシオは1:2、もしくは1:3と言われています。
「損失:利益」の比率
例:スクリワードレシオを1:2と設定する場合
1ドル140円の時にエントリーし損切りポイントを139.5円を損切りポイントとするならば、150円が利確ポイントとなります。
1回の取引におけるリスクリワードレシオは、必ず2以上である必要はありませんが、その比率は「損失額<利益額」でなければなりません。
なぜなら、利益が損益を上回っていれば、勝率が低くてもトータルで利益を出せる可能性が高まるからです。
エントリーの前に想定した展開が、1:2になっている場合のみエントリーするというルールを設定してみるのもひとつの方法です。
ここまでは、エントリー前に考えて置くべきことですが、ここからはエントリー後に行う資金管理について解説していきます。
③ トレードを見直し改善を行う
利確・損切りポイントは、許容損失額に基づきエントリーする前にあらかじめ決められているため、トレード中は、決めたルールを守ることだけに専念しましょう。
そしてトレード後は、トレードの内容を振り返ることが大切です。
最近ではトレードを記録するアプリなどもあるので、利用してみるのもいいでしょう。
トレード日記に書く項目の例
・トレードをした通貨ペア
・トレード時のチャートの形状
・エントリーの根拠
・新規注文や決済注文を行った価格
・損益結果
・トレード前やトレード中、トレード後の心理状態
・自分のトレードルールを守ることができたか
思うような結果が出せなかった場合は、エントリー時の状況や心理状態などを振り返ることにより、今後の課題が明確になります。
こうした見直しと改善の繰り返しは資金を守ることに繋がり、結果的にメンタル面にも良い影響を与えます。
FXにおけるメンタルのコントロール方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
FXをトレードする上でメンタルコントロールは重要? FXでいつも負けてしまうのはどうしてだろう? メンタルを強くするトレーニング方法って? 90%のトレーダーが負けると言われているFXの世界。 残りの10% …
④ 定期的に勝率やリスクリワードレシオを見直し改善を行う
トレード内容の振り返りとともに大切なのは、定期的な「リスクリワードレシオ」の見直しです。
ここでの「リスクリワードレシオ」とは、一定期間における利益額と損失額の比率になります。
※先述した「リスクリワードレシオ」は、一回の取引における損益と利益の比率になります。
一定期間における勝ちトレード平均利益額 ÷ 負けトレードの平均損失額
リスクリワードレシオはもちろん、「損失額<利益額」になっているのが理想です。
しかし、これだけで自身のトレードの良し悪しを判断してしまうのは危険です。
例:勝ちトレードにおける平均利益額が20,000円、負けトレードにおける平均損失額が10,000円の場合
この場合、リスクリワードレシオは、20,000 ÷ 10,000 = 2となり理想的な状況です。
しかし、仮に10回のトレードのうち2回しか勝つことができなければ、トータルで見るとマイナスになってしまいます。
回数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | Total |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均利損 | 2万円 | 2万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -1万円 | -4万円 |
そのため、リスクリワードレシオは勝率(勝ったトレード回数 ÷ 総トレード数)をからめて考える必要があります。
リスクリワードが1、つまり勝ちトレード平均利益額と負けトレードの平均損失額が同じである場合、勝率50%が利益が出るか損益が出るかの分岐点になります。
勝率を縦軸、リスクリワードレシオを横軸にした表に、この分岐点をあてはめてみると、その関係は反比例になっているのが分かります。
この分岐点を上回れば利益を出すことができ、下回れば損失が発生してしまうのです。
この関係を以下のように表で表すと、0%の分岐点を境に青色部分がプラス、赤色部分がマイナスになっています。
これを見ると、リスクリワードレシオが0.5の時は、67%以上の勝率をあげることが必須であり、勝率が40%であればリスクリワードレシオを1.5以上に保たなくてはならないことが分かります。
リスクリワード | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
0.3 | 0.5 | 1 | 1.5 | 2 | 3 | ||
勝率 | 25% | -68% | -63% | -50% | -38% | -25% | 0% |
33% | -57% | -50% | -33% | -17% | 0% | 33% | |
40% | -48% | -40% | -20% | 0% | 20% | 60% | |
50% | -35% | -25% | 0% | 25% | 50% | 100% | |
67% | 13% | 0% | 33% | 67% | 100% | 167% | |
77% | 0% | 16% | 54% | 93% | 131% | 208% |
勝率とリスクリワードレシオの関係で大切なのは、ふたつのバランスになります。
では、勝率とリスクリワードレシオのバランスが悪かった場合、どのような改善を行うべきなのでしょうか?
勝率やリスクリワードレシオの改善方法
勝率とリスクリワードレシオのバランスが悪かった場合は、どちらかを改善する必要があります。
まず、勝率を上げたいのであれば、勝算の低いトレードはしないのひと言につきます。
つまり、今までの経験やインジケーターに基づく明確な根拠により、高い勝算があるときにだけトレードをするということです。
勝率50%のトレーダーが行う10回のトレードのうち、1回負けトレードが減れば勝率は55%に上がります。
一方、リスクリワードレシオの改善に力を入れるのならば、勝ちトレードでの平均利益額を上げる、つまり1回ごとの取引における利確幅の設定を見直す必要があります。
リスクリワードの利益の割合を、今までの設定よりも多くし、設定した利確ポイントまで達しそうもない場合は、エントリーを見送るというのも一つの方法です。
また、いざポジションを保有するとすぐに利確をしてしまい、なかなか利益を伸ばすことができないという人は、トレードルールを見直してみるのもいいでしょう。
このようなリスクリワードレシオの見直しは、結果的に勝率アップにも繋がっていきます。
損切りが早すぎたり利益が伸ばせずお悩みの方は、こちらの記事をご覧ください。
「FXを始めてはみたけど、どうやって損切りの目安をつけたらいいの?」 「利確のタイミングが分からず、利益を上手く伸ばせない・・・」 「FXでの具体的な利確と損切り方法やルールの決め方が知りたい」   …
MT4・MT5での勝率やリスクリワードレシオの確認方法
多くのトレーダーが利用しているMT4・MT5では、期間を指定し勝率やリスクリワードレシオを確認することができます。
またそのデータをレポートとして保存することもできるので、定期的にデータを確認することでトレードのスキルアップに役立ちます。
レポートの取得方法や見方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
現在のトレードの収益を確認したい。 確定申告用の取引履歴を取得したい。 取引履歴の見方を知りたい。 XMの取引履歴は、確定申告はもちろん、現在のトレード収支確認やトレード分析に欠かせないものです。 XMのト …
まとめ
トレードで資金を確実に増やしていくには、長くトレードを続けていくことが大切です。
そのためには資金管理が欠かせません。
冒頭で解説した「投資資金」の見直しは、口座残高に変化があった時に定期的に行い、その投資資金を意識したトレードを行うことが大切です。
許容損失額を考慮したうえで、利確・損切の幅とロット数を調節すれば、「1回のトレードでドカンと資金が無くなってしまった!」なんて言うことはありません。
適切に資金を管理すれば心に余裕が生まれ、結果的に長くトレードを続けていくことができますね。
筆者:海外FXラボ編集部
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