「法人口座と個人口座の違いって?」
「法人口座は節税対策になるの?」
ある程度利益が出るようになると「法人口座の方が節税できるのでは?」と考える方もいると思います。
今回の記事ではXMTradingは法人口座に対応しているのか?、法人口座にするメリットやデメリットを解説していきます。
XMは法人口座が開設できない!
結論から言うと、XMで法人口座を開設することは出来ません。
よくあるご質問の取引口座の欄にも記載されています。
今は開設できなくてもいつかは開設できるようになるのかな?
法人口座が開設できないのは一時的なものなのか、実際にXMのサポートに問い合わせてみました。
法人口座の開設は現在一切受け付けておらず、再開の見込みも立っていないようです。
海外法人からなら法人口座の開設ができる?
法人口座が開設できないのは日本法人だけなのか、こちらもXMのサポートに問い合わせてみました。
XM側からの返答は「国内外ともに法人口座の取り扱いが現在ございません。」ということでした。
XM全体で法人口座は開設できないんだね・・・。
法人口座の取り扱いが停止する前に開設した方は、引き続き利用することができます。
法人口座を開設する理由
そもそも法人口座とは一体どういったものなのでしょうか?
法人口座とは?
法人口座とは、名義人が会社名の口座のこと。
名義人を会社名にすることで会社と代表者の資金を分けることができる。
FXにおける法人口座は、会社と個人の間にブローカーが入り、口座を提供するという形になる。
法人口座と個人口座の大きな違いは納める税金の対象にあります。
法人には法人税が、個人には所得税がかかります。
法人で得た利益にかかる税金。法人税の税率は会社の規模や所得総額によって変化する。
所得税とは
個人で得た利益から所得控除を引いた額にかかる税金。所得税の税率は年収によって変化する。
法人税と所得税は納税義務者、期間、課税方法や税率などが異なります。
また、法人税と所得税は国税ですが、それぞれ別途で地方税(住民税、事業税など)も支払う必要があります。
法人税と所得税の税率
では、法人税と所得是が税率面でどのくらい差があるのか見ていきましょう。
法人税と所得税の税率について以下の表をご覧ください。
▼法人税の税率(2021年4月1日~)※国税庁HPからの引用
区分 | 適用税率 | |||
---|---|---|---|---|
普通法人 | 資本金1億円以上の法人 | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% |
適用除外事業者 | 19% | |||
年800万円以上の部分 | 23.20% | |||
上記以外の法人 | 23.20% |
▼所得税の税率(2013年4月1日~)※国税庁HPからの引用
所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
表を見てみると、法人税は決められた税率なのに対し、所得税は所得額が大きくなるにつれて税率も上がる累進課税という税制度を取っているのが分かります。
法人化のタイミング
一般的に法人化のタイミングは年1,000万以上の利益をあげられたらと良いと言われています。
例を挙げて法人と個人を比較してみました。
▼年1,000万以上の利益をあげた時の税金
(令和元年10月1日以降に事業を開始し、東京23区内に事務所がある場合)
国税 | 地方税 | 税率 | |
---|---|---|---|
法人 | 法人税(23.20%) | 法人住民税(12.9%) 法人事業税(7%) | 43.1% |
個人 | 所得税(33%) 特別復興所得税(所得税額×2.1%) | 住民税(10%) | 43.693% |
※他に消費税など細かな税金もあるので、参考程度に留めてください。
個人は前述したように累進課税という制度を取っており、所得額が大きくなればなるほど税率が上がっていきます。
法人は法人税以外にも多くの税金を支払わなければいけませんが、税率は23.20%から上がることはありません。
税負担の面からみると、個人で納める税金が法人を上回る少し前に法人化すると税制面でお得になります。
しかし、これらは所得控除やFX以外の所得によっても変化するので一概に法人の方がいいとは言えません。
次の項目で紹介するメリットとデメリットをきちんと理解しましょう。
法人口座にするメリット
ここからは法人口座にするメリットを解説していきます。
①経費に計上できる範囲が広がる
個人で確定申告する場合はFX取引に必要なものだけしか経費に計上できませんでした。
しかし法人化することによって経費に計上できる範囲が広がります。
▼個人と法人の経費に計上できる可能性のあるもの
個人 | 法人 | |
---|---|---|
経費に計上できるもの | ・海外FX取引に関する本や雑誌、情報商材 | 個人で計上できるものに加えて、 ・家賃 ・光熱費や水道代などの公共料金 ・車(事業で利用する場合) ・役員報酬(給与) ・保険料 など、法人名義で支払ったもの全て |
例えば給与はFXで得た利益から出せるので給与所得控除の対象にできます。
給与として支払った分利益が減り、利益にかかる税金も減るので、最終的に節税にも繋がります。
しかし、実際に経費に計上できるかどうかは税務署の判断によります。
②損益通算できる範囲が広がる
税区分に関わらず赤字が出た時、将来出る黒字と過去の赤字で相殺できる仕組み。
損益通算をする年は、確定申告する必要がある。
個人の場合でも損益通算はできますが、法人化することでその範囲がより広くなります。
個人の損益通算は海外FXと同じ雑所得内のみでしたが、法人は海外FX以外の事業などと合算して最終的な利益額に法人税がかかります。
例を使って以下のグラフで簡単に説明していきます。
ある年にFX取引で損失を30万円、他事業で利益を50万円出した場合
損失-30万円 + 利益50万円 = 合計20万円
法人税は合算後の金額にかかるので、合計の20万円に課税
③最長9年の損失繰越
事業所得で赤字が出たとき、将来出る黒字と過去の赤字で相殺できる仕組み。
損失を出した年から繰り越している間は取引が無くても毎年確定申告する必要がある。
海外FXの個人口座の場合、赤字は繰り越すことができません。
しかし法人化すると、最長9年繰り越すことができます。
毎年決算申告する必要がありますが、相殺している間は課税対象になりません。
ただし、相殺分を減らしてもプラスになる場合は課税対象になります。
損益通算と同じく例を使って以下のグラフで簡単に説明していきます。
2020年に損失を100万円
2021年に利益30万、2022年に利益40万、2023年に利益80万円出した場合
2021年:前年の損失100万 – 利益30万 = 損益70万
2022年:前年の損益70万 – 利益40万 = 損益30万
2023年:利益80万 – 前年の損益30万 = 損益50万
法人税は合算後の金額にかかるので、合計の50万円に課税
④決算期を自由に決められる
個人の決算期は12月と決められていますが、法人の場合は自由に決めることができます。
繁忙期や経営状況に合わせて決めることができるので、焦らずに決算を行うことができます。
法人口座にするデメリット
この項目では法人口座にするデメリットを紹介します。
①法人の設立・維持に費用がかかる
海外FX業者で法人口座を開設する前に、法人を設立しなくてはいけません。
法人の設立や維持にはかなりの費用がかかってしまいます。
法人の設立と維持にはどのくらいの費用がかかるのか確認してみましょう。
法人設立時にかかる費用
「株式会社」と「合同会社」の2つを例に、初期費用を比べてみます。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款認証手数料 | 50,000円 | ー |
定款印紙代 | 40,000円 (電子なら無料) | 40,000円 (電子なら無料) |
定款謄本代 | 約2,000円 (1通250円) | ー |
登録免許税 | 最低150,000円 (または資本金の7/1000のどちらか大きい方) | 最低60,000円 (または資本金の7/1000のどちらか大きい方) |
登録事項証明書代 | 1通600円 | 1通600円 |
印鑑証明書代 | 1通450円 | 1通450円 |
資本金 | 最低1円~※ | 最低1円~※ |
合計 | 243,050円~ ※資本金の金額により変動 | 101,050円~ ※資本金の金額により変動 |
株式会社は最低24万円、合同会社は最低10万円と、かなり費用がかかってしまいます。
また、資本金は最低1円からと表記しましたが、最低でも100万円以上ないと銀行で審査に引っかかる可能性があります。
資本金は会社の社会的信用度に関わるので、大きければ大きいほど会社の信用度が高まります。
法人維持にかかる費用
法人を設立した後も、維持費がかかります。
どの会社形態でもかかる費用は以下の3つです。
2.税金
3.税理士や会計士への報酬
1.社会保険料
法人を設立したら、社会保険には強制的に加入させられます。
従業員が自分一人だとしても社会保険の加入義務があり、さらに従業員を雇う場合は会社と従業員で折半して支払います。
2.税金
法人税や住民税は「利益額に対して課税」されるので、利益が出るFXの場合は必ず支払うことになるでしょう。
さらに「住民税均等割」というものがあり、これは赤字でも支払い義務が発生します。
住民税均等割は、資本金が1000万以下の場合は7万円、資本金が1000万以上の場合は18万円支払う必要があります。
3.税理士・会計士への報酬
法人を設立すると普通の会計業務だけでなく、年に1回決算申告をしなければなりません。
決算申告は非常に複雑で、今まで確定申告しかしていなかった人にとってはとても大変な作業に感じられるでしょう。
なので自分一人では対処できず、税理士や会計士に委託するパターンが多く見られます。
これらを合計すると税理士や会計士に渡す報酬も決して少なくはありません。
②含み益にも税金がかかる
まだ決済していないが、決済したら利益になるだろうと見込まれた利益のこと。
個人の場合は未決済のポジションで利益が出ることが見込まれていても、課税対象にはなりません。
なぜなら、税金はポジションを決済して利益が出た瞬間にかかるからです。
しかし法人の場合は、未決済のポジションを所持している状態で、利益が見込まれていたら課税対象になります。
事業年度の最終日に未決済の損益も課税所得に計上する必要があるので、忘れないように計上しましょう。
③自由に利益を引き出せない
法律上では経営者と法人は「別人格」とされているので、個人のお金と法人のお金は分けて考える必要があります。
例え従業員を他に雇っておらず自分一人で経営していたとしても、法人口座に入ったお金を自由に使うことはできません。
法人のお金を使ってしまったら…
もし法人のお金を使ってしまったら、業務上横領罪に問われる可能性があります。
業務上横領罪で有罪判決となった場合、10年以下の懲役刑となります。
法人のお金を利用したい時は…
個人で法人のお金を利用したい時は、役員報酬や役員貸付金といった方法を使います。
しかし役員貸付金は会社から一時的にお金を借りている状態となるので、銀行からの評価はあまり良くなく、融資が受けられなくなる可能性があるので注意が必要です。
法人の資産の個人利用はできるだけ控えましょう。
④税務調査が入る可能性がある
毎年の確定申告に対し申告内容が正しいかどうかを確認するための調査のこと。
法人になると法人税が課されますが、法人税は「申告納税制度」という制度を取っており、申告者が自分で所得と税額を申告する必要があります。
そこで不備や不正などが見つかると、税務調査が入る可能性があります。
税務調査は業種や過去の不正履歴などにより時期は異なるので、急に税務署から連絡が来る可能性もあります。
急な税務調査に備えて正しく申告し、書類の保存も行っておきましょう。
顧問税理士がいる場合は書面添付制度※を利用することができます。
※書面添付制度:税理士がどのように会社に関わり税額計算をしたかの確認書類を添付する制度。必要な場合のみ税務調査が入る。
確定申告については以下の記事で詳しく解説しています。
海外FX業者「XMTrading(XM)」を利用する最大のメリットはハイレバレッジと豊富なボーナスを利用して効率よく利益を出せることです。 ただしXMで獲得した利益には税金がかかるので、確定申告をする必要があります。 海 …
XMで個人口座を法人口座として運用する
XMで法人口座が開設できないなら、個人口座を法人口座として運用すればいいのでは?
出来なくはありませんが、あまりオススメしません。
XMでは法人口座が開設できないので個人口座を法人の利益にしてしまおうと考えている人もいると思います。
税理士の裁量で法人口座として認められる場合もあるかもしれません。
しかし、これらは全てグレーな状態にあります。
税務署の担当者によっては認められる可能性があり、認められない可能性もあります。
税務署に個人口座を法人口座だと証明できる手段があるのならともかく、手段がないのなら脱税などを疑われてしまうこともあります。
法人口座を開設したいのならかなりグレーなXMより、他の海外FX業者で法人口座を開設した方がいいでしょう。
法人口座に対応しているオススメ海外FX業者
どうしても海外FX業者で法人口座を開設したい場合は、XM以外の業者で開設することをオススメします。
この項目では、法人口座が開設できる他業者を軽く紹介します。
AXIORY(アキシオリー)
AXIORYはベリーズに本社を置くFX業者です。
最大レバレッジは400倍、日本語サポートも充実していて個人口座と同じ条件で取引することができます。
GemForex(ゲムフォレックス)
GemForexはニュージーランドに本社を置くFX業者です。
最大レバレッジは1,000倍、個人口座と同じ条件で取引ができ、さらに法人口座でもボーナスを受け取ることができます。
【結論】法人口座は本当に節税対策になり得るのか
この記事を通して法人口座について理解を深めることはできたでしょうか?
法人税と所得税の税率の違いや、メリットデメリットなど様々な項目別に解説していきました。
結論としては「FXで継続的に多く稼ぐことができる方」は法人化することによって節税できる可能性が高いです。
また、FX以外にも他の事業を考えていて利益が出る見込みがある方なども節税できるでしょう。
XMでは法人口座が開設できませんが、法人口座の開設を考えている方は他の海外FX業者も目を通して見てください。
法人の設立やFXの法人口座は税金の問題が複雑に絡み合っています。
自分でしっかり分析をして、税理士などの専門家指導のもと行いましょう。
筆者:海外FXラボ編集部
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